小説

『モモ』其の壱拾玖 「犬井、決意する」

「節分・・・・・・」 「あぁ、そういえば今日2月3日だっけ?」 確か其の壱で・・・というメタ発言は止しておこう。朝、起きたときに日時を確認したらそうだった・・・今日は2月の3日、節分である。 「節分といえば・・・」 本来"節分"というものは季節の分か…

『モモ』其の壱拾捌 「雉岡、救われる」

「びっくりしたぁ・・・まったく、口が軽いな犬井君は・・・」 タカは心臓を押さえながら惣菜コーナーを歩いていた。いやしかし、逃げたのは少し不自然過ぎたかもしれない・・・タカはそう考えたがやってしまったものは仕方がない、奇跡を信じてみよう。 「(…

『モモ』其の壱拾漆 「男子、辿り着く」

「着いたね〜・・・」 「着いちまったな〜・・・」 隼とタカ、男子の二人組も女子組に少し遅れて『鬼ヶ鳥』に到着した・・・・・・というか到着してしまった。 「犬井君、猿江さんの携帯は?」 「地図閉じて元の場所に戻した、抜かりはないぜ」 勝手にロック…

『モモ』其の壱拾陸 「女子、辿り着く」

距離的にはそうでもないが、精神的な長旅の末、ようやくスーパー『鬼ヶ鳥』の看板が見えた。 「つ・・・着いた・・・」 モモの体から力が抜け、思わず地面に座り込みそうになる。その瞳には少しばかりの涙が浮かんだ。 「いや・・・たかがスーパーに着いただ…

『モモ』其の壱拾伍 「猿江、感じ取る」

「殺意と同情をどこからか感じ取ってしまいましたわ・・・」 背筋が震え、五月は気温とは関係ない寒さを感じた。どこからともなく感じた決して相容れる存在ではない殺意と同情・・・これは、何かの予兆!?五月が辺りを警戒していると、モモが不審な目を向ける…

『モモ』其の壱拾肆 「雉岡、荒ぶる」

青い空、白い雲、吹き抜ける風、小鳥たちの囀り、そして・・・・・・自転車の唸り。「ギッチャギッチャ」と聞いたこともないような音を発しながら自転車は車輪を転がしていた。今にもどこかの部品が取れそうで怖い。それでもタカは自転車を引くしかなかった…

『モモ』其の壱拾参 「雉岡、悟る」

隼はおもむろに五月の携帯をいじり始めた。 「ちっ、ロックかけてやがる・・・」 そう言いながらも彼は何故か手慣れた様子でスムーズにボタンを押している。いくらかボタンを押しているとやがて 「おっ、解けた」 「へぇ〜すごーい・・・・・・っていやいや…

『モモ』其の壱拾弐 「犬井、あさる」

「着かねェな・・・」 「着かないね・・・」 隼とタカは見知らぬ異郷の地を彷徨っていた。さっきから同じところをグルグル周っている気がする・・・何せ人がいない、とどのつまりは道を訊けない。そして後悔するとするならば先程入ったゲームセンターで何故…

『モモ』其の壱拾壱 「男子、寄り道する」

さて困った。 モモが道を知っているとはいえ、女子二人で『鬼ヶ鳥』に向かわなくてはならなくなってしまったのだ。 「頼りない男子ですわ・・・女子を置いて行くなんて・・・」 「まぁまぁ、愚痴を言っても何も変わらないよ」 「・・・マイペースですのね」 …

『モモ』其の拾 「一行、分かれる」

洞窟を抜けると・・・ではなく、橋を渡りきると、そこは都会だった・・・当然だが。 高くもなければ低くもないビルが建ち並び、その下を自動車が横行している。忙しく人が行き交っており、その光景は人がゴミ・・・ではなく蟻のように見えてくる。しかし冬の…

「希望の翼」 ♯読書ハ変ワラズ

1 夕飯を食べ終え、デネブとアルタイルは自室に戻っていた。 アルタイルの部屋だが、デネブがベッドを占領していた。当のアルタイルはというと、机で本を読んでいる。 『結局本は読むんだね、まぁ家なら別にいいか』 デネブはベッドでポヨンポヨンと跳ねてい…

「希望の翼」 ♯変心

『さてと・・・アルタイル、話があるんだ』 ベガが見えなくなってしまったところで、デネブは口を開いた。どうやらふざけている様子ではなさそうだ。 『話・・・?』 2人は再び歩き始める。他校の生徒であるデネブにとっては初めての道でそわそわしながら歩…

「希望の翼」 ♯大事ナコト

「まぁ別に君たちのことを言っているわけじゃないよ。君たちの事情なんて知らないもの・・・」 デネブの話はまだ続きそうだ、そろそろみんなも座る体制がきつくなってくるころ。 「いじめっていうのは、『絆』も、『命』も、『心』も台無しにしてしまうもの…

「希望の翼」 ♯兄ノ講義

運動場に入ると、もうすでに生徒が整列していた。 アルタイルとベガは別々に入ることにした。一緒に遅れたとなれば変な誤解を招く可能性があるからだ。 まだ始まっていないらしく、生徒はざわめいている。 アルタイルは周りに気づかれないよう迅速に列に入っ…

「希望の翼」は明日から再開しますm(_ _)m

今日は未完の「Free dom」の短編をば・・・・・・ 「・・・あぁ〜、スタールよ、今からお前ん家行くわ」 ルークは歩きながら携帯でスタールに電話をしていた。家近辺にいてもうるさそうなので友人宅にいるのが一番静かで安全だろう。 なにしろスタールの家は…

だかしかし、残像だ

今日も疲れたぜぇ( ̄∇ ̄) 風邪引いたかもだぜぇ(´Д`) 昼・・・ テスト前の学生は大体、この時間帯から親に言われて嫌々ながらも勉強を始める。 だが、ルークは午前中、特に何もせず、テレビを見ていた。 昼食も食べ終え、ベッドに潜りこんでいた。つまり、…

水曜日ってなんか好き(・ω・)

来週の金曜日くらいまで「希望の翼」は書けそうにありませんm(_ _)m キマッツーコーサーを倒さないことには我らの休息(夏期休業)は訪れませんからw「Free dom」の短編くらいは書けそうですけどねw というわけで 期末試験・・・ 夏休みという学生にとって最大…

うぉぉぉいorz

「希望の翼」を書いていたら操作をミスってしまって一時間前の状態に逆戻りorz 今日はもう書く気が起きませぬ・・・・・・orz 畜生・・・・・・!!(T_T) 今日は『Free dom』の短編でも書くかな ほとんどセリフなので状況については各々のご想像にお任せします…

「希望の翼」 ♯上ヲ向イテ

翌日・・・・・・ ベガはいつもの通学路を通り、いつもの教室に入った。脳裏に浮かんだのは昨日のような光景・・・・・・。また、あの痛々しい光景を目の当たりにしなければならないのか・・・・・・。 しかし、その教室ににアルタイルはいなかった。 『え・…

「希望の翼」 ♯他人

1 どうしてこんなことになってしまったんだろう?別に誰かを責めているわけでもないし、責めるとしたら多分自分だろう。 ベガは帰路につきながらハァ、とため息をつく。いつも一人で本を読んでいるアルタイル・・・彼に話しかけたのがそもそもの要因だったの…

「希望の翼」 ♯オ節介

アルタイルはムスッとしながらベガの顔を見ていた。 『・・・お前、何で俺に構うんだよ・・・・・・?』 アルタイルの言葉にベガはキョトンとした。まさかアルタイルから話題を振ってくるとは・・・。 『何でって・・・・・・いつも一人で寂しそうだったから…

「希望の翼」 ♯二人ノ魔法使イ

そこは暗闇だった、光が一切ない。地面の感触は土で、少し歩き、手を伸ばせば岩の感触をした壁がある。 どうやらここは洞窟のようだ。しかも、一切人の手が加えられていない自然の・・・・・・。 とにかく、灯りが無いことには無闇に動けない。 「火の魔法"…

「希望の翼」 ♯飛バズニ歩ム

気づいたら野原に立っていた。夢でも幻覚でもない、確かに野原だ。天界にこんな広い野原はない。だとしたら・・・・・・ 「・・・・・・ここが、下界」 空気は澄んでいて、気持ちまで楽になってくる。何故自分はここにいるのだろうか?どうやって来たのだろか…

「希望の翼」 ♯強クナル・・・

1 「・・・・・・。」 「・・・・・・。」 沈黙。思わぬ形での再会、2人はそのまま黙りこくる。ポルックスは、新鮮そうな魚を数匹持っていた。ベテル・ギウスはポルックスから視線を落とし、魚に目を向ける。見ていたら口の中によだれが溜まり、ジュルッと…

「希望の翼」 ♯天カラノ来訪者

1 ふと目を開けると、辺りは暗く、とても寒かった。草の感触がする。呼吸は、できる。手足も動く。 体は特に問題ないようだ。体を起こそう、立ち上がらなきゃ。そう体を起き上がらせようとした瞬間、体中に激痛が走る。 「(っ痛!!?)」 なんだよ、さっきまで…

「無翼の天使」 ♯静寂ト、瓦礫ト・・・

1 邪魔なダークマターたちはいなくなった。今ここにいる敵はあの布を体に巻いた人物のみ。しかも動けないと見た、これほどのチャンスはまたとないだろう。 アーク・トゥルスとベガはダッシュで動けなくなったグラビティ・デストロイヤーへと向かっていく。 …

「無翼の天使」 ♯最後ノ足掻キ

1 実際、何が起こっているのかなんてわからなかった。いや、恐らくわからない方が良いのだろう。自分の周りには沢山の人が倒れている。誰だかわからないが、普通じゃないのは確かだ。そして、その倒れている人々の中で一人だけ、不敵に笑って立っている人物…

「無翼の天使」 ♯翼モ輪モ

1 アーク・トゥルスとベガの二人は噴水広場に落ちていた瓦礫に身を潜めていた。布らしきものを体に巻いている人物がいるところより200mほど離れているが、星の戦士の目は常人より凄いため、問題は無かった。 2人はここに着いたばかりなので状況の把握はしき…

「無翼の天使」 ♯無翼ノ・・・

1 出遅れてしまった。ダークマターは1人、天界を飛んでいた。 第6島とかいうところでプレアデス星団と戦っていたら、ゼロ様が来てプレアデス星団を一気に蹴散らしてくれた。それから、我々はプレアデス星団を噴水のある広場に運んでいたのだが、自分は誰も…

「無翼の天使」 ♯只今セーブ中・・・

1 『復活に必要な呪文が違います(メモリーパッケージ)』・・・・・・。 『記憶の選択者』である『メモリーズ・セレクター』の能力。 記憶の選択者・・・・・・セーブデータを選んでロードをするようなことでもできるのだろうか? 「"うち"は生まれてきてから…