ベテル回

「希望の翼」 ♯強クナル・・・

1 「・・・・・・。」 「・・・・・・。」 沈黙。思わぬ形での再会、2人はそのまま黙りこくる。ポルックスは、新鮮そうな魚を数匹持っていた。ベテル・ギウスはポルックスから視線を落とし、魚に目を向ける。見ていたら口の中によだれが溜まり、ジュルッと…

「希望の翼」 ♯天カラノ来訪者

1 ふと目を開けると、辺りは暗く、とても寒かった。草の感触がする。呼吸は、できる。手足も動く。 体は特に問題ないようだ。体を起こそう、立ち上がらなきゃ。そう体を起き上がらせようとした瞬間、体中に激痛が走る。 「(っ痛!!?)」 なんだよ、さっきまで…

「無翼の天使」 ♯希望ノ石

1 心臓が止まりそうになった。いや、一瞬だけ確実に止まっていた。ベテル・ギウスの背筋に悪寒が走る。ベタベタした汗が一気に流れ出た。体中が小刻みに震え始める。鼓動の音が周りにも聞こえそうなほど大きく思えた。よくわからないがベテルの体は間違いな…

「無翼の天使」 ♯一ツニ集イ始メル・・・!

1 それから二十分の時間が経ち、アーク・トゥルスが市民をつれて神殿に戻ってきた。どうやら何事も無かったようだ。 「帰ったぞ、市民を入れても構わないか?」 「ええ、大広間以外にも広いところはあるし、全然問題ないわ。」 ベガは20mある扉の両脇にある階…

「無翼の天使」 ♯別レ

1 ポルックスはベテル・ギウスとソルの会話の内容を理解できていなかったが、その内容に違和感を覚えた。 先程、ベテルは会話の中でこう言った。 『やったことないので出来るかどうかの確証はありませんね。』 そしてソルはこう言った。 『よくわかんねぇん…

「無翼の天使」 ♯下界ト希望ヘノ道

1 ベテル・ギウス、ポルックスの二人は、下界に行くことを決意した。 「・・・それで、どうやって天界に行けばよろしいのですか?」 下界に行くならば下界に行く手段を知らなければならない。普通、『実戦部隊』もしくは『情報処理』に昇格しなければ下界への…

「無翼の天使」 ♯二ツノ希望トナレ

1 『下界』とは、我々人間が住んでいる『宇宙』のことだ。標高の高い山の上に住んでいる人々は山のふもとのことを『下界』と言うらしいが、天界からすれば『宇宙全体』が下界である。 「下界って・・・何故ですか!?」 ポルックスが一番気になっているのは『…

「無翼の天使」 ♯時間ノ違イ

1 「・・・そうか、すまんな、お前たちにすべて任せてしまって・・・」 高さ20m弱の扉の奥からソルの申し訳なさそうな声が聞こえてきた。 「め、滅相もないです・・・!僕たちは自分の意思で戦ったんですから・・・!!」 ベテル・ギウスはソルの驚きの言葉に困…

「無翼の天使」 ♯夜ノ闇ト心ノ闇

1 いつもは、このくらいの時間になると民家や神殿などの明かりが点き、暗いと思うようなことはなかった。商店街の明かり、噴水広場のイルミネーション・・・どれも美しく、遠くから見れば輝く宝石のように見えた。 しかし今は違っていた。どこも明かりなんて…

「無翼の天使」 ♯武器ノ雨

1 とにかく突破口を見つけなければ・・・ベテルは相手にダメージを与える方法を考える。 「(剣技では間違いなくあいつが上、たとえ触れたとしても電撃がくる・・・避雷針はもう使えない・・・くっ)」 傷も小さくはない・・・出血も多い、ベテルが倒れるのも…

「無翼の天使」 ♯交ワル二人

行間 アークはソルの言われたとおりに神殿の外でベガとベテルの帰りを待っていた。しかし、一向に帰ってくる気配がない。 「・・・(あれから20分待ったが、人っ子一人来ないとは・・・何かあったのか?)」 アークは退屈そうに神殿の壁に腰かけていたが、20分…

「無翼の天使」 ♯『守ルコト』ガ俺ノ生キ方

1 逃げる。ただひたすら逃げる。逃げて逃げて、徐々に神殿との距離を縮める。たかが400mだ、走ればすぐにたどり着く。ベテルとポルックスは少しでもダークマターとの距離を伸ばすため、一歩一歩に力を込めて走った。 「・・・・・・っ」 まともに呼吸する暇…

「無翼の天使」 ♯再会ト最悪

1 行方不明だったポルックスからテレパシーを傍受した。かなり雑音(ノイズ)があったので内容はほとんど聞き取れなかったようだが、どうやら近くにいるらしい。 「・・・・・・。」 ベテルはその場で回転しながらポルックスにテレパシーを送ってみる。方向と…

「無翼の天使」 ♯憤リノ理由

1 プレアデス星団と、ダークマター達がお互いに向かい合う。 プレアデス星団はダークマターの急襲に焦りながらもしっかりと戦闘準備を整えていた。フォー・マルハウトが彼らの存在に気づいていなかったら、おそらくまともな状態でこの場にいなかっただろう。…

「無翼の天使」 ♯七ツノ裏切リ

1 デネブの意識が無くなったことを確認し、フェイトは近くにいたダークゼロに命令を下す。 「もうすぐ最終段階に入る。プレアデス星団を徹底的に潰し、団員を一人残らずここに連れて来い。」 「・・・御意」 ダークゼロは出ているダークマター達にテレパシー…

「無翼の天使」 ♯悪シキ者ハ・・・

1 天界の中で一番大きく、最も重要な浮島『ティ・エルド』に建っている神殿の中に、ベガ、ベテル、アーク、星の勇者十二隊はいた。 「・・・カストルとポルックスは?」 ベテルがアークに尋ねた。 「わからない、いつの間にかはぐれてしまった・・・すまん・…

「無翼の天使」 ♯姿見エ無キ会話

1 ソル達は出口を探していた。閉じ込められているにも関わらず呼吸ができるということはどこからか空気が入ってきているということだ。だが、その思惑ははずれた。 「この結界、どうやら空気は取り入れてるみたいだ。だから密室なのに呼吸ができるのか・・・…

「無翼の天使」 ♯影忍ブ

1 ・・・星ノ・・・戦士・・・・・・星ノ戦士・・・倒サネバナラナイ・・・・・・憎イ・・・恨メシイ・・・ダガ、『主』ハ捕ラエロト言ッタ・・・捕ラエル・・・・・・捕ラエル・・・・・・奴ラヲ捕ラエタラ『主』ハドウスル? アア、ソウダ・・・『消ス』ト…

「無翼の天使」 ♯非道ト希望

1 二人とはぐれてしまった。 変な一つ目に襲われて必死に走っていたら、いつの間にか二人とはぐれてしまった。 頭の左側に角が生えているカストルは倒壊した建物の瓦礫の上に座っていた。どうやら撒くことはできたようだ。とは言っても油断はできない。建物…

「無翼の天使」 ♯手段ハ封ジラレ

行間 体中に布のようなものを巻いてる人物は手下たちに命令を下した後、組織の幹部の一人『ダークゼロ』と会話をしていた。 「何故星の戦士全員ではなく『プレアデス星団』のみに狙いを定めたのですか、『預言者様』?」 よく見る星のマークを真っ黒に塗りつ…

「無翼の天使」 ♯戦士ノ憤怒

1 細く暗い路地を抜けてたどり着いた噴水広場。 しかし、もうそこに本来の美しさや活気は無かった。何も知らない人ならば、『場所を間違えた』と頭はまず判断するだろう。 それほど噴水広場は破壊されていたのだ。家々は形を失い、噴水はすべての機能を失い…

「無翼の天使」 ♯襲撃開始

1 広場の中央にはベタな噴水が設置されている。その噴水は主に集合場所などに使われることが多いのだが、天界でも有名な観光スポットなのでスケッチや学校からの遠足などでメインの場所となっている。 そのほかにも下界と天界を結ぶ通路のようになっていたり…