ベガ回

「希望の翼」 ♯読書ハ変ワラズ

1 夕飯を食べ終え、デネブとアルタイルは自室に戻っていた。 アルタイルの部屋だが、デネブがベッドを占領していた。当のアルタイルはというと、机で本を読んでいる。 『結局本は読むんだね、まぁ家なら別にいいか』 デネブはベッドでポヨンポヨンと跳ねてい…

「希望の翼」 ♯大事ナコト

「まぁ別に君たちのことを言っているわけじゃないよ。君たちの事情なんて知らないもの・・・」 デネブの話はまだ続きそうだ、そろそろみんなも座る体制がきつくなってくるころ。 「いじめっていうのは、『絆』も、『命』も、『心』も台無しにしてしまうもの…

「希望の翼」 ♯上ヲ向イテ

翌日・・・・・・ ベガはいつもの通学路を通り、いつもの教室に入った。脳裏に浮かんだのは昨日のような光景・・・・・・。また、あの痛々しい光景を目の当たりにしなければならないのか・・・・・・。 しかし、その教室ににアルタイルはいなかった。 『え・…

「希望の翼」 ♯オ節介

アルタイルはムスッとしながらベガの顔を見ていた。 『・・・お前、何で俺に構うんだよ・・・・・・?』 アルタイルの言葉にベガはキョトンとした。まさかアルタイルから話題を振ってくるとは・・・。 『何でって・・・・・・いつも一人で寂しそうだったから…

「希望の翼」 ♯二人ノ魔法使イ

そこは暗闇だった、光が一切ない。地面の感触は土で、少し歩き、手を伸ばせば岩の感触をした壁がある。 どうやらここは洞窟のようだ。しかも、一切人の手が加えられていない自然の・・・・・・。 とにかく、灯りが無いことには無闇に動けない。 「火の魔法"…

「無翼の天使」 ♯静寂ト、瓦礫ト・・・

1 邪魔なダークマターたちはいなくなった。今ここにいる敵はあの布を体に巻いた人物のみ。しかも動けないと見た、これほどのチャンスはまたとないだろう。 アーク・トゥルスとベガはダッシュで動けなくなったグラビティ・デストロイヤーへと向かっていく。 …

「無翼の天使」 ♯翼モ輪モ

1 アーク・トゥルスとベガの二人は噴水広場に落ちていた瓦礫に身を潜めていた。布らしきものを体に巻いている人物がいるところより200mほど離れているが、星の戦士の目は常人より凄いため、問題は無かった。 2人はここに着いたばかりなので状況の把握はしき…

「無翼の天使」 ♯一ツニ集イ始メル・・・!

1 それから二十分の時間が経ち、アーク・トゥルスが市民をつれて神殿に戻ってきた。どうやら何事も無かったようだ。 「帰ったぞ、市民を入れても構わないか?」 「ええ、大広間以外にも広いところはあるし、全然問題ないわ。」 ベガは20mある扉の両脇にある階…

「無翼の天使」 ♯次期星団長

1 目的地である神殿が見えてきた。今この状況で唯一明かりが点いている。ベガはそこを目がけて飛んでいく。 「着きました、こっちです!」 ベガの言葉を聞くと、後ろをついてきている市民は一斉に加速し出す。わっ、と市民の歓喜の声が聞こえてきた。安全で、…

「無翼の天使」 ♯時間感覚ノ麻痺

行間 アーク・トゥルスは暗い夜の闇をまっすぐ飛んでいた。ベガ率いる市民の団体を捜すためだ。そしてもう一つ、謎の時間のずれ・・・。この現象の実態を探るために、アークはひたすら空を飛び回っていた。 「(58・・・59・・・20分経過・・・)」 アークは…

「無翼の天使」 ♯夜ノ闇ト心ノ闇

1 いつもは、このくらいの時間になると民家や神殿などの明かりが点き、暗いと思うようなことはなかった。商店街の明かり、噴水広場のイルミネーション・・・どれも美しく、遠くから見れば輝く宝石のように見えた。 しかし今は違っていた。どこも明かりなんて…

「無翼の天使」 ♯原因ト結果

1 前にも書いたが、物事には必ず『原因』というものが存在する。右足を前に出し、次に左足を前に出せば歩ける。両足を交互に出すから歩ける。 『足を前に出す』という原因が無ければ『歩く』という結果は出ない。 「・・・つまり、『ダークマター族が攻めて…

「無翼の天使」 ♯見直シ

1 どうやらまだ皆無事のようだ。 「よかった・・・」 ベガはプレアデス星団の面々を見てホッとした。そんなベガのところに気配を消したフォーが近づいてくる。 「ベテルはどうした・・・?」 「わぁ、ビックリした!!いつの間にいたのよ!?」 「・・・そう言わ…

「無翼の天使」 ♯思イト想イ

1 アークは天界を飛び回っていた。かつての師『ドゥーベ』等逃げた北斗七星を捜すためだ。ソルは「下界に逃げた」と言っていたので下界に行くため、アークは下界への道を探して天界中を飛び回っていた。 「どこだ、下界への通路は・・・どこにある!?」 アー…

「無翼の天使」 ♯再会ト最悪

1 行方不明だったポルックスからテレパシーを傍受した。かなり雑音(ノイズ)があったので内容はほとんど聞き取れなかったようだが、どうやら近くにいるらしい。 「・・・・・・。」 ベテルはその場で回転しながらポルックスにテレパシーを送ってみる。方向と…

「無翼の天使」 ♯憤リノ理由

1 プレアデス星団と、ダークマター達がお互いに向かい合う。 プレアデス星団はダークマターの急襲に焦りながらもしっかりと戦闘準備を整えていた。フォー・マルハウトが彼らの存在に気づいていなかったら、おそらくまともな状態でこの場にいなかっただろう。…

「無翼の天使」 ♯七ツノ裏切リ

1 デネブの意識が無くなったことを確認し、フェイトは近くにいたダークゼロに命令を下す。 「もうすぐ最終段階に入る。プレアデス星団を徹底的に潰し、団員を一人残らずここに連れて来い。」 「・・・御意」 ダークゼロは出ているダークマター達にテレパシー…

「無翼の天使」 ♯悪シキ者ハ・・・

1 天界の中で一番大きく、最も重要な浮島『ティ・エルド』に建っている神殿の中に、ベガ、ベテル、アーク、星の勇者十二隊はいた。 「・・・カストルとポルックスは?」 ベテルがアークに尋ねた。 「わからない、いつの間にかはぐれてしまった・・・すまん・…

「無翼の天使」 ♯姿見エ無キ会話

1 ソル達は出口を探していた。閉じ込められているにも関わらず呼吸ができるということはどこからか空気が入ってきているということだ。だが、その思惑ははずれた。 「この結界、どうやら空気は取り入れてるみたいだ。だから密室なのに呼吸ができるのか・・・…

「無翼の天使」 ♯影忍ブ

1 ・・・星ノ・・・戦士・・・・・・星ノ戦士・・・倒サネバナラナイ・・・・・・憎イ・・・恨メシイ・・・ダガ、『主』ハ捕ラエロト言ッタ・・・捕ラエル・・・・・・捕ラエル・・・・・・奴ラヲ捕ラエタラ『主』ハドウスル? アア、ソウダ・・・『消ス』ト…

「無翼の天使」 ♯迫リシ災厄

1 六体・・・決して少ない数ではない。しかも相手の手の内がわからない。どういう攻撃がくるか、それをどう対処するか・・・ 「(どきどきするぜ、未知の敵・・・どれくらい強いんだ?)」 アルタイルは強い敵と戦うととても燃える。それが自分より強ければ強い…

「無翼の天使」 ♯非道ト希望

1 二人とはぐれてしまった。 変な一つ目に襲われて必死に走っていたら、いつの間にか二人とはぐれてしまった。 頭の左側に角が生えているカストルは倒壊した建物の瓦礫の上に座っていた。どうやら撒くことはできたようだ。とは言っても油断はできない。建物…