『モモ』其の壱拾肆 「雉岡、荒ぶる」

青い空、白い雲、吹き抜ける風、小鳥たちの囀り、そして・・・・・・自転車の唸り。「ギッチャギッチャ」と聞いたこともないような音を発しながら自転車は車輪を転がしていた。今にもどこかの部品が取れそうで怖い。それでもタカは自転車を引くしかなかった、ひかなければ進まない・・・当然である。
「パンクしてるしチェーンは外れかかってるしギアは動かないしブレーキも役立たず、フレームも傷だらけで・・・明らかに覚えのない傷があるのは何故・・・・・・?」
正直言うとフレーム以外まったく壊した覚えがないし、何故そうなっているのかもわからない・・・・・・
「(神様、僕が一体何をしたというのですか?全く身に覚えがありません。二人乗りですか?二人乗りがいけなかったんですか??たかが二人乗りが罪になるんですか???二人乗りといえど川本さんと乗ったのがアウトだったんですか????川本さんとキャッキャウフフしてたのが駄目だったですか?????そもそも生きていることがアウトなんですか??????)」
タカの思考回路が救いようのない混沌の奥深くまで行ってしまい、暫く現実に戻って来れそうにないので隼はハァ・・・とため息をつき、立ち止まる。一瞬マジでぶん殴ってやろうかと思ったが辛うじて良心が抑制してくれた。
隼は携帯(五月の所有物)を片手に持ちながらタカを案内する。タカ自身、一応隼の話を聞いているらしいが返事が憂鬱過ぎて怖い、隼は覚悟しながら恐る恐る訊く。
「・・・休憩するか?」
「んへあ?あぁ、うん・・・・・・」


2人は自販機を見つけ、適当にくつろいだ。
「大丈夫かよ・・・?自転車のことは、ご愁傷様だけどよ・・・」
「勝手に殺さないでよ・・・これもう自転車としての機能を果たせないよね・・・」
「正直邪魔だろ・・・どうする、サドル抜いて代わりに牛蒡差し込んで捨てるか?」
「どこの悪戯事件?ていうか何故牛蒡?」
こういう自転車は大概道端に捨てらているものだが、登録番号のせいで所有者の特定ができてしまうためそないなことはでけへんにゃ☆
「・・・あと十分くらい歩けば土手に出るな、案外簡単だったぜ」
隼は携帯(五月の所有物)の画面を見ながら得意げに鼻を伸ばした・・・いや実際に伸びたわけではないけど。
しかしタカはどこか・・・というより明らかに不安げだ。
「いや僕的には・・・その後がメチャクチャ不安なんだけどね・・・・・・猿江さんの制裁もとい、処刑(!?)が・・・」
「な〜にビビってんだ、あいつの処刑(!?)なんて全然痒くねェよ」
「いやいや・・・痒くはないと思うよ?むしろ痛いと思うよ?」
想像すればするほど恐ろしくなってくる。なんせ五月の携帯を無断で、しかもわざわざロックを解いて使ってしまったのだ、彼女のプライベートが隼にダダ漏れしてしまったのである。恐らく止めなかったタカも同罪、どんな目に合うか・・・想像を絶するだろう。
顔面が蒼白しているタカとは対照的に隼の顔は明るかった。
「ポジティブに行こうぜ、人生何事も試練だよ」
「わざわざ処刑台に出向くのが試練だと・・・突破難易度高過ぎるでしょ」
「そろそろ行くか・・・」はぐらかすように隼にそう促され、渋々タカも立ち上がる。
土手まで着ければ後は地図なんていらない・・・目的地までの道のりは見えた。
ついでに・・・三途の川も見えた。



続く・・・
一週間ぶりの『モモ』ですw
主人公は誰だw(モモです)


芥川龍之介の『桃太郎』を見たんですが・・・桃太郎が悪すぎてwww
桃太郎が鬼が島に鬼退治に行った理由が
「彼はお爺さんやお婆さんのように、山だの川だの畑だのへ仕事に出るのがいやだったせいである。」
というww
ちなみに鬼は何にも悪いことをしてません、つまりは桃太郎の一方的な残虐行為(-_-;)
芥川龍之介さんの作品には『桃太郎』の他にも『かちかち山』や『猿蟹合戦』などがあり、すべて原作よりも細かく描写し、明らかに子供向けではない内容ばかりですw
皆さんも一度読んでみては?


今日は『MOTHER3』の実況動画を見てました。
MOTHERシリーズって考えさせられるゲームですね、キャラへの感情移入間違い無しです(ToT)
奇妙で、面白い、でも切ないゲームです。