デネブ回

「希望の翼」 ♯読書ハ変ワラズ

1 夕飯を食べ終え、デネブとアルタイルは自室に戻っていた。 アルタイルの部屋だが、デネブがベッドを占領していた。当のアルタイルはというと、机で本を読んでいる。 『結局本は読むんだね、まぁ家なら別にいいか』 デネブはベッドでポヨンポヨンと跳ねてい…

「希望の翼」 ♯変心

『さてと・・・アルタイル、話があるんだ』 ベガが見えなくなってしまったところで、デネブは口を開いた。どうやらふざけている様子ではなさそうだ。 『話・・・?』 2人は再び歩き始める。他校の生徒であるデネブにとっては初めての道でそわそわしながら歩…

「希望の翼」 ♯大事ナコト

「まぁ別に君たちのことを言っているわけじゃないよ。君たちの事情なんて知らないもの・・・」 デネブの話はまだ続きそうだ、そろそろみんなも座る体制がきつくなってくるころ。 「いじめっていうのは、『絆』も、『命』も、『心』も台無しにしてしまうもの…

「希望の翼」 ♯兄ノ講義

運動場に入ると、もうすでに生徒が整列していた。 アルタイルとベガは別々に入ることにした。一緒に遅れたとなれば変な誤解を招く可能性があるからだ。 まだ始まっていないらしく、生徒はざわめいている。 アルタイルは周りに気づかれないよう迅速に列に入っ…

「希望の翼」 ♯他人

1 どうしてこんなことになってしまったんだろう?別に誰かを責めているわけでもないし、責めるとしたら多分自分だろう。 ベガは帰路につきながらハァ、とため息をつく。いつも一人で本を読んでいるアルタイル・・・彼に話しかけたのがそもそもの要因だったの…

「希望の翼」 ♯オ節介

アルタイルはムスッとしながらベガの顔を見ていた。 『・・・お前、何で俺に構うんだよ・・・・・・?』 アルタイルの言葉にベガはキョトンとした。まさかアルタイルから話題を振ってくるとは・・・。 『何でって・・・・・・いつも一人で寂しそうだったから…

「無翼の天使」 ♯無翼ノ・・・

1 出遅れてしまった。ダークマターは1人、天界を飛んでいた。 第6島とかいうところでプレアデス星団と戦っていたら、ゼロ様が来てプレアデス星団を一気に蹴散らしてくれた。それから、我々はプレアデス星団を噴水のある広場に運んでいたのだが、自分は誰も…

「無翼の天使」 ♯只今セーブ中・・・

1 『復活に必要な呪文が違います(メモリーパッケージ)』・・・・・・。 『記憶の選択者』である『メモリーズ・セレクター』の能力。 記憶の選択者・・・・・・セーブデータを選んでロードをするようなことでもできるのだろうか? 「"うち"は生まれてきてから…

「無翼の天使」 ♯複数名

1 人格が変わった?否、人が変わったのだろうか?デネブが知っている限りでは、フェイト・プロフェットの一人称は"私"、"ぼくちん"、"あちき"、"本官"、そして今の"うち"・・・・・・。 おふざけでもここまで一人称を変えやしないだろう。しかも一人称ごとに口…

「無翼の天使」 ♯仕上ゲ

1 「んん〜・・・見失っちゃったかぁ・・・・・・」 噴水広場の噴水に座っているフェイトはベテル・ギウスとポルックスの追跡から戻ってきたダークマターたちの様子を見てそう悟った。 「まぁ、捜せば見つかるよね、先にこっちを終わらせちゃおうかな?」 フ…

「無翼の天使」 ♯消サレル理由

1 デネブのすぐそばに、布らしきものを巻いた謎の人物が現れた。 「君は・・・?」 デネブには見覚えが無かった。翼は隠しているのかもしれないが"輪"が無いところを見るとどうやら星の戦士ではないようだ。 「君は・・・誰だ?」 デネブは再度質問した。謎の…

「無翼の天使」 ♯悪シキ者ハ・・・

1 天界の中で一番大きく、最も重要な浮島『ティ・エルド』に建っている神殿の中に、ベガ、ベテル、アーク、星の勇者十二隊はいた。 「・・・カストルとポルックスは?」 ベテルがアークに尋ねた。 「わからない、いつの間にかはぐれてしまった・・・すまん・…

「無翼の天使」 ♯攻カ守カ・・・

1 最初に一つ目が動いた。 パチパチと体中から黒い稲妻を纏い、デネブに向けて突進した。 ゴッ!という鈍い音がなり、辺りに砂埃が舞う。 しかし、デネブには当たらなかった。いや『当てられなかった』。 デネブを中心に凄まじい風が吹いていて、一つ目は近づ…

「無翼の天使」 ♯手段ハ封ジラレ

行間 体中に布のようなものを巻いてる人物は手下たちに命令を下した後、組織の幹部の一人『ダークゼロ』と会話をしていた。 「何故星の戦士全員ではなく『プレアデス星団』のみに狙いを定めたのですか、『預言者様』?」 よく見る星のマークを真っ黒に塗りつ…

「無翼の天使」 ♯戦士ノ憤怒

1 細く暗い路地を抜けてたどり着いた噴水広場。 しかし、もうそこに本来の美しさや活気は無かった。何も知らない人ならば、『場所を間違えた』と頭はまず判断するだろう。 それほど噴水広場は破壊されていたのだ。家々は形を失い、噴水はすべての機能を失い…