「無翼の天使」 ♯『守ルコト』ガ俺ノ生キ方

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逃げる。ただひたすら逃げる。逃げて逃げて、徐々に神殿との距離を縮める。たかが400mだ、走ればすぐにたどり着く。ベテルとポルックスは少しでもダークマターとの距離を伸ばすため、一歩一歩に力を込めて走った。
「・・・・・・っ」
まともに呼吸する暇すら無い、このまま走れば酸欠になるだろう。
「(訓練だと・・・400mなんて余裕なのに、何でこんなにも・・・きつく長く感じるんだろう・・・!?)」
ベテルは訓練を思い出しながら走っているのだがいつものように力が出ない。
当然だ、


これは訓練ではない。


通常の訓練ではこのような実戦を想定していなかった。主な目的は『体力づくり』で、ただグラウンドを何周か走るだけの訓練だった。実戦で生じる『恐怖感』や『緊張感』などへの対策はほとんどしなかった。いつものような力が出ないのはそれが原因だ。
そして、全力で走れば走るほど体への配慮がおろそかになり、バランスを崩す。
よって・・・
ガッ、とベテルは石につまずき、走っていた勢いを殺せずにそのまま転んだ。
「ベテル!!」
ポルックスがスピードを落とし、方向転換しようとすると
「来るな、そのまま逃げて!!」
「!!」
ベテルは叫んだ。二人が犠牲になるよりは一人が犠牲になったほうがましに決まっている。
「(そして・・・)」
ベテルはゆっくり立ち上がる。その正面には12体のダークマターが近づいてきている。
「僕がここでこいつらを食い止める!!その隙に逃げて!」
自分がやられても奴らはポルックスを追いかけて行くに決まっている。そうなる前に少しでも奴らの数を減らさなくては・・・
しかし・・・
「足止めなど無駄だ、貴様などでは我々を一瞬でも止めることはできん・・・!」
一体のダークマターの体が崩れ、形が変わっていく・・・その姿はやがて剣士のような姿となった。
剣士が剣を構えると、剣が雷を纏った。そのまま剣士は突っ込んできた。
「(止める・・・!!)」
ベテルが構え、お互いが接触する。
だが、
「命知らずが・・・」
ブシッ、とベテルの体から赤い液体が出てきた。
「っ!!!?」
ベテルはあまりの激痛に声にならない声を出した。

「ベテル!?」
ポルックスは茫然とした。誰かが大きな傷を負うところを見るのはこれが初めてだった。
剣士の姿をしたダークマターの剣速は一瞬だった。斬られたかどうかもすぐにわからないほどだ。剣が雷を帯びていたからか、普通ではありえない形の傷ができた。だがベテルは倒れなかった。震えながら背後にいる剣士の方を向き、
「待てよ・・・」
「・・・・・・」
剣士は反応しなかった。少し止まったが、すぐにポルックスの方へ駆け出した。
「待てって言ってんだろ!!」
ベテルは思いっきり叫んだ。それでようやく剣士は止まる。

「まだ僕は倒れちゃいないぞ・・・!!」

「・・・・・・そうか」
しかし、残りの11体がベテルに突っ込んでいく。
「待て・・・止まれ」
11体は動きを止めた。どうやら剣士はこの中で一番の存在らしい。
「面白そうだ、私一人にやらせろ。他はそこで待っとけ。」
「ベテル・・・!」
ポルックスはその様子をビクビクと見ていた。

ベテルは今日貰ったばかりの"召喚石(サモンストーン)"を手に持つ。
「"異世界想造(アナザークリエイト)"!!『無敵(アパラージタ)』召喚!!」
ベテルは"召喚石(サモンストーン)"を天に向かって投げた。すると"召喚石(サモンストーン)"が輝き、一本の剣が降ってきた。
ベテルは降ってきた剣を掴み、一振りした。

ここで初めてベテル・ギウスの能力と"召喚石(サモンストーン)"の説明をする。
ベテルは『異世界に自分が想像したものを作る』ことができる。なんでもというわけではなく、『無敵になれる鎧』とか『不老不死になれる薬』とかそういうぶっ飛んだものは作れない。
異世界に作る』ということなのでどうやってこちらに持ってくるのかというと、そこで"召喚石(サモンストーン)"の出番である。
"召喚石(サモンストーン)"は異世界からものを召喚するというベテルの星具だ。
異世界で自分が想像したものを作り、"召喚石(サモンストーン)"でこちらに召喚する』、ということだ。
今、ベテルは異世界で『無敵(アパラージタ)』を作り、"召喚石(サモンストーン)"でこちらの世界に召喚した。

「・・・逃げてばかりじゃ駄目だよね、ベガを守るって約束したんだから・・・ここで止まるわけにはいかない。」
ベテルは剣士をまっすぐ見た。さっきまでは逃げることしか考えなかったのに、傷持ちだが、今はこの剣士と対等に戦えるような気すらする。
ポルックスを守るということが、誰かを守れるということが、勇気になり、力になる。
ベテルは少し笑顔になった。剣士はその様子に少し驚いた。
「(このガキ、先程までの恐怖を忘れている・・・!?こんな短時間で戦意が出てきたというのか!?これが、プレアデス星団・・・!!)」

ベテル・ギウスとダークマターは向かい合った。



・・・続く!!
あれ、なんかこの終わり方デジャブ・・・
まぁいいか((
アークに続きベテルも覚醒!?
アークは怒りと悲しみで覚醒したけど、
ベテルは自分の迷いや不安を消して覚醒した感じ。
覚醒にも色々あるんだねww

あぁ、『トーン』使ってることに気づきました?なんか家にあったんで使ってみましたww
あるとなんか『挿絵』ってかんじがするよねw
ただ、貼るのクソメンドくせぇ+クソムズい!!

さて、昨日言ってたルカ姉のペン入れ完了です。

二回目にも関わらず難しかっただと・・・!?


嗚呼、GW(ゲームウィーク)が終わってしまったorz
学校は楽しいからまぁいいかww