「無翼の天使」 ♯二ツノ希望トナレ

                       1
『下界』とは、我々人間が住んでいる『宇宙』のことだ。標高の高い山の上に住んでいる人々は山のふもとのことを『下界』と言うらしいが、天界からすれば『宇宙全体』が下界である。
「下界って・・・何故ですか!?」
ポルックスが一番気になっているのは『何故下界に行かなければならないのか』ではなく『何故自分達なのか』だ。理由も気になることには気になるが・・・
「・・・今、この天界はほぼすべての機能を失っている。『北斗七星』もいなければ俺たち『星の勇者十二隊』も動けない。聞けば建物も破壊され、この辺りは戦場と化している・・・唯一動けるのはお前たち『プレアデス星団』と『ヒヤデス星団』、そして無所属の戦士たちだけだ。市民も恐怖に怯え、お前たち無しではまともに動けやしない。簡単に言うと『天界は壊滅的』なんだ。もしかしたら、俺たちは滅んでしまうかもしれない・・・」
「・・・・・・」
ソルの消極的な言葉に二人は黙ってしまった。アークはいずれ戻ってくるだろうが、ベガやプレアデス星団のみんなとは連絡が取れない。ヒヤデス星団も今現在、どこで何をしているのかわからない。つまり、この場でソルにとって今一番頼りになるのがベテルとポルックスのみなのだ。二人に「下界に行け」と言うのも、何か意図があってのことなのだろう。
「・・・何のために下界に行けば良いのですか?下界でやるべきこととは?」
ベテルが次に気になっていることを質問した。
「簡単だ、『ただ下界にいればいい』。」
ソルは本当に簡単に答えた。
「ただ、下界にいればいい?・・・それだけ・・・なんですか??」
ポルックスが疑問しか持てなかった。扉の奥にいる人物が、今何を考えているのかわからない。
「それはつまり、『下界を捨てろ』ってことですか!?」
ベテルが結論を言うと、ソルはこう答えた。
「いや、『捨てろ』とは言わない。ただ我慢してほしいだけだ。」
「我慢・・・?」
ポルックスとベテルはいよいよわけがわからなくなってきた。目的も、課題も無く、ただ下界にいればいい?なら何のために下界に行くというのか?
「理由もひっくるめて全体的にちゃんと分かりやすくまとめて説明するから、よく聞いておけ。多分、理解しがたいところが出るだろうからな・・・」
理由・・・ちゃんとしているのだろうか?二人は少し疑心暗鬼になりつつも、ソルの言葉に耳を傾ける。


「『この戦いが完全に鎮静するまで、その事後処理をお前らにしてもらうため、それまでお前らに無事でいてもらうため、10年間、下界にいてほしい』んだ。」



最悪の事態・・・今回のそれは、『星の戦士が壊滅すること』で、『天界の機能が完全に停止すること』で、『天界の崩壊』だ。
ソルの言うことをもう少しわかりやすく言うと、
ベテル・ギウスとポルックス、天界が以上の『最悪の事態』に陥ってしまった場合、この2人にはその修復をしてもらいたいのだ。そしてこの2人がその『最悪の事態』に巻き込まれて絶命しないよう、安全のため下界に10年間避難していろ。ということだ。
「・・・この戦いで、みんながいなくなってしまうかもしれないから、僕たちだけでも生き残って、ボロボロになった天界をもとに戻してほしい・・・ということですか?」
ベテルが衝撃の結論を口にする。
「・・・ああ。みんなが生き残るか、全滅してしまうかは彼らの運と実力次第だ。10年後、もしかしたらみんなそろっているかもしれないし、お前ら2人だけになるかもしれない。みんな揃っている可能性もあまり無いが・・・」
ソルが2つの未来を提示する。
ベテルとポルックスは受け入れることができなかった。勝手だな・・・と思った。どうせみんな滅ぶなら、いっそ一緒に滅んでしまった方が気持ち的にも楽になれる。みんなが命をかけて戦っているというのに、自分たちだけ下界に避難するなんてこと、できるはずがない。ベテルは目に涙を浮かべながら訴える。
「嫌です・・・絶対に嫌です!!たとえソル様の命であっても、他人の命を見捨てて自分の命を守るなんてできません!!僕たちプレアデス星団は・・・いえ、星の戦士は、運命共同体です!みんながいなくなるなら、僕たちも一緒に」
「甘ったれるな!俺たち星の戦士は下界の平穏を守るために生まれてきたんだ、俺たちは絶対に滅んじゃいけないんだよ!俺を含め、星の戦士が全員いなくなってみろ、下界のバランスはすぐさま崩れ始めるぞ!?お前達に俺たちの想いを、俺たちの生き様を後世に残してほしいから言ったんだ!今これを頼めるのはお前たちしかいないんだ、お前たちにしかできないから頼んでるんだよ!!皆が皆生き残ってる可能性もあまり無いが、皆が皆いなくなる可能性だって少ないんだ。俺たちは簡単にやられたりしない、見えることばかりを信じてないで、少しは見えないことも信じてみろよ。俺が言っていたのはあくまでみんないなくなった時のための保険なんだ・・・頼む・・・」
ソルの声が少しずつ掠れていく・・・あのソルが、涙を流して懇願しているのだ。口は悪いが、言いたいことをはっきりと言えたのかはわからないが、ソルの言葉はベテルとポルックスの心の奥まで響いていた。
「ソル様・・・」
ベテルはさっき「勝手だな」と思ってしまった自分を恥じた。ポルックスもだ。
ソルは「絶望を受け入れて希望を作れ」と言ったのではなく、「絶望を希望に変えろ」と言ったのだ。
パンドラの箱から出てきた災厄なんて無視しろ。箱に残った希望しか見るな・・・と。




・・・続く!!
ごちゃごちゃですねorz
ソルの言いたかったこと、ベテルとポルックスだけじゃなく、皆さんに伝わったかな・・・?



どうでもいいけど今日学校で買った飲み物は
リンジュース
です!!
甘くておいしかったなぁ・・・
って言ったら何故か友人に変な目で見られたけど何故だろうk((

『ゴ』がやけに小さい?気のせいだ(^_^)b

さすが「小岩井」だぜ。あそこのはブドウジュースカフェオレもうまいのだ^ ^