「無翼の天使」 ♯夜ノ闇ト心ノ闇

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いつもは、このくらいの時間になると民家や神殿などの明かりが点き、暗いと思うようなことはなかった。商店街の明かり、噴水広場のイルミネーション・・・どれも美しく、遠くから見れば輝く宝石のように見えた。
しかし今は違っていた。どこも明かりなんて点いていない。それもそうだ、その明かりを点ける人たちは全員外に出ていて、家にいないのだ。逆に点いている方がおかしいと言っても過言ではない。
「明かりが点いているところは無さそうね。まぁ、そのほうがこっちとしてはありがたいんだけど・・・」
明かりが点いているとこちらの場所がダークマター族に割れてしまう可能性がある。民家の明かりだって空を照らすことはできる。視界が悪い反面、居場所がバレにくい。
ベガ率いる市民のグループは音もなく空を羽ばたいている。音でバレることはまず無いだろう。ベガは後方を見た。その方角ではプレアデス星団ダークマター族が戦っていて、時々ダークマターの放った稲妻が見える。
「あと十分・・・このまま何も問題が起こらなければいいけど・・・」
ベガはダークマターの追手が来ることや、鉢合わせの可能性を気にせずにはいられなかった。もしダークマターと戦うことになったらベガ達は負けてしまうだろう。ダークマターは基本単独行動をしない。最低でも一グループ三体はいる。こちらにいるのはベガとアンタレスの2人のみ、しかも市民を守りながらとなるとかなり厳しくなる。
「俺はさっきの戦いでちょっと疲れてるから、もし奴らと遭遇してしまってもあまり期待しない方がいい。だからと言って戦わないわけにはいかないけどな・・・」
アンタレスがため息混じりにベガに言う。ベガも似たようなものなのだが、強気でいなければこの先が思いやられる。
「大丈夫よ、あとたったの十分のうちに、彼らと遭遇しないことを信じよう・・・?」
「・・・そぉだな」



しかし現実はそうもいかなかった。



ベガ達が飛んでいる方向から少し逸れたところで、五つの目が暗闇も気にせずベガ達をまっすぐ見ていた。
「目標確認・・・プレアデス星団『ベガ』、『アンタレス』発見・・・」
暗闇には慣れている・・・彼らはいつだって闇の中を生きてきた。こんな夜の暗さなんて比べ物にならないくらいに深く、暗い闇の世界を必死に戦ってきた。
あの出来事に比べれば、絶望なんてただの空虚で、恐れなんて心の震えにすぎなかった。事件などどうでもいい歴史で、どんな傷の痛みもただの痒みとなった。
日常など失った。希望は持たなくなった。幸福なんて忘れた。涙など渇いた。あるのはただ『憎しみ』と『怒り』だけ・・・
『主』の言われるがままに行動してきた。そのおかげで彼らはただの人形と成り果てた。あの時星の戦士が来てくれていたら、自分たちの運命も変わっていたのかもしれない。だがあの時星の戦士は来なかった。どんなに望んでも、彼らが救われることは無かった。
「・・・捕獲を、開始する・・・」
静かに、ゆっくりと、彼らは動き出した。



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ベテルとアークのチームワーク・・・それはもう凄まじかった。いや、凄まじいほど『バラバラ』だった。
あれだけ大きなことを言っておきながら二人は乱れまくっていた。ベテルが一体に斬りかかり、しかしその剣がダークマターの体をすり抜け、ベテルが前に倒れこみそうになるとアークがベテルの頭を踏み台にし、ダークマターに向かって飛びかかる。
「痛っ!?」
ベテルがジョリ、と思い切り地面に顔を擦ってしまい、猫に引っかかれたような傷ができた。
アークは"光線爪(ネイルガン)"から実体の無い爪を出し、ダークマターの一体を斬った。
「アァァァァクゥゥゥゥゥ・・・!?すんごく痛いんだけどっ!?」
「それくらい受け身取れよ・・・それに、斬られるよりはずっとマシだろ?」
「うん、まぁそうか・・・ってそういう問題じゃないでしょ!?こっちは傷持ちなんだからな!!?」
「えぇ、あぁ、そう。」
「ウガァァァァァァァァ!!!」
だがそういうやり取りをしていながらも、二人はきちんとダークマターを視界から消さないようにしていた。チームワークが『悪い』わけではなく、あくまで『バラバラ』、チームワークが『悪』ければ二人は既にお互いを攻撃してしまって傷だらけになっていたことだろう。
「・・・なんていうか、こんな二人にやられるのは屈辱だな。」
ダークマターがポツリと言う。しかしどうやらそのつぶやきはその二人に聞こえていたようで・・・
「「なんだとコラ!?」」
「・・・・・・。」
そんなこんなでアークとベテルは戦っている。残りは七体、四体も倒せたんだから二人は子供ながらかなりの手練れだろう。もっとも、此処にいるダークマターは弱い方なのでデネブと戦ったダークマターと戦っても勝てないだろうが・・・




・・・続く!!
ダークマターも個々で実力が違うんだなww
ま、アークとベテルは運が良かったってだけで、他のダークマターと戦ったら恐らくは勝てないかと^ ^;
プレアデス星団のチームワーク、見せてやるぜ・・・!!」
↑そう言ったくせにあれだ。
まったくやれやれだぜww