「無翼の天使」 ♯再会ト最悪

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行方不明だったポルックスからテレパシーを傍受した。かなり雑音(ノイズ)があったので内容はほとんど聞き取れなかったようだが、どうやら近くにいるらしい。
「・・・・・・。」
ベテルはその場で回転しながらポルックスにテレパシーを送ってみる。方向と距離を確定するためだ。
「ザザ・・・テル?・・・ガガガ・・・まどこ・・・ザ・・・の?」
やはり雑音(ノイズ)が混じっていたが反応があった。ベテルはホッとする。かすれかすれの声から内容を推測すると多分「ベテル?今どこにいるの?」と言っていたのだろう。ベテルは雑音(ノイズ)の多さで距離をおおよそ測定し、最もポルックスの声が聞き取りやすかった方向もわかった。
「距離およそ400m、方角は北北東ってとこかな?」
おそらくそこにポルックスがいるだろう。ベテルはわかったことを隣にいるベガに報告する。
「うん、じゃあすぐだね。ポルックスが見つかったら神殿に戻ってくること。すぐに市民が行くと思うから」
「了解!」
ベテルは元気よく返事をし、バサッとポルックスがいる方向へ飛んで行った。ベガはそれを見届けるとプレアデス星団のみんなが待っている場所の方向を見た。
「・・・ベテルには伝えなかったけど、みんなのところで大きな戦いをしている音がする・・・ダークマター族が来たのね・・・!」
ベガは本来ベテルに最も伝えるべきことを黙っていた。ベテルを連れて行くわけにはいかないと思い、言わなかったのだ。
ベテルもいつの間にか成長したなぁ・・・とベガは思っていたが、やはり心のどこかで彼のことを子ども扱いしていた。危険な目に合わせるわけにはいかないとか、まだ訓練生だからとか、ベテルだけではなく後輩のみんなを少しでも危険から遠ざけようといつも思っていたが、

「みんな『子供』じゃなくて、ちゃんと一人の『星の戦士』だったのね・・・何で気づけなかったんだろう・・・」

彼らから危険を遠ざけたらそれだけ彼らの成長を遠ざけることになるということを、ベガは今初めて知った。
「でも今回は・・・ゴメンね・・・」
そしてベガは飛び立った。今戦っている仲間のところへ・・・ベテル達後輩を信じて・・・


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頭の右側に角が生えているポルックスはホッと息を吐いた。たった今、僅かだがようやく知り合いと通信ができた。ポルックスは1人になってからずっと誰かにテレパシーを送っていた。先ほどベガにテレパシーを送り、反応されたのは奇跡だろう。番号も方角もランダムに送っていたからだ。そしてベガに反応された後、同僚のベテルから連絡があった。
「ほんと、テレパシーって便利じゃないなぁ・・・」
ポルックスは改めてそう思った。たかが数百メートルの距離でもかなりの雑音(ノイズ)が混じる。下界には『携帯電話』なる便利なものがあるらしいが、天界にも普及しないだろうか・・・?ポルックスはちょっと不満を覚える。すると、
「おー・・・い!」
声が聞こえた、聞き覚えがある。訓練生の中でもかなり幼い声・・・ポルックスは空を見上げた。
「ベテルーー!」
ポルックスは手を振る。こんな嬉しい気持ちになれたのは久しぶりかも・・・と思いながら笑顔になる。
ベテルが地面に足をつけ、ポルックスの方へ走ってきた。
ポルックス!良かった無事で・・・怪我はない?」
「うん、無い。そっちこそよく無事だったね!」
「フォーとかベガとかと一緒にいたからね。特に何も無かったけど・・・」
「・・・兄さんとアークは?はぐれちゃったんだ。」
ポルックスが一番気になっていたことをベテルに訊いた。夢中で走っていたらいつの間にか二人とはぐれていたという兄とまったく同じパターンだった。当然、ベテルや本人は知る由もない。
カストルは副団長が捜してくれてるからわからないけど・・・アークには会ったよ。」
「ホントに!?良かったぁ・・・」
ポルックスはホッと胸を撫で下ろす。この球体で胸も腹もあるのかは定かではないが・・・
「でも、アークは・・・」
「?」
アークは1人でどこかへ行ってしまった・・・と伝えるべきなのかベテルは一瞬迷ったが、
「(話さないわけにもいかないし、話さない理由もないか・・・)」
とりあえず、現状とこれからやるべきことを話さなくては。ベテルはフゥッと息を吹く。そしてポルックスの目を見る。
ポルックス、実は・・・」


数分後・・・


「・・・そうなんだ・・・」
アークの事情と今の現状、これからやるべきことを理解し、ポルックスは納得する。
「とりあえず、今は神殿に戻って市民の誘導をしなきゃいけない」
ベテルは近くにあった時計のついた電灯をみた。午後六時半。フォーと買い物に行ったのが午後二時だった。襲撃があってからまだ四時間半しか経っていない。
「・・・まだこれだけしか経ってないのか・・・!?」
そういや寮の門限は五時だったな、とベテルはどうでもいいことを考えつつ、
「急いで神殿に戻ろう。もう市民がいるかもしれないし・・・」
「うん、行こう!」
ポルックスが返事をする。

直後、
「・・・目標確認。プレアデス星団『ベテル・ギウス』、『ポルックス』発見。」
「っ!?」
それは、数時間振りに聞いた、絶望の言葉だった。
「・・・捕獲を開始する」


ベテル達からおよそ200m離れたところに、12体のダークマターがいた。


「そんな・・・何で!?」
最悪だ。何よりタイミングが最悪過ぎる。何故このタイミングなのか、そんなのは彼らの気まぐれだからどうしようもない。
ベテルとポルックスは初めて彼らを見たときを思い出した。容赦のない攻撃、あの視線、
二人は迷うことなく走り出した。あの数はまともにやり合える数じゃない、ただ逃げることしかできない。


ベテル達にとっては、これは命を賭けた鬼ごっこなのだ。




・・・続く!!
ダークマターはKYだったんですねハイww


ダークマター「このロリコン共め!!」


(ギクッ)・・・なんか言われた希ガス
だが気に・・・しない・・・


はい、レン君の色塗りが終わりましたお(キモ

反省点orz
・足が短くなったorz
・また上部に違和感orz
↑つまり、リンちゃん同様、一度上のローマ字をミスったorz
・「LEN」を「REN」にしてしまうという大失態orz


このままいくとルカ姉と『鮪』を描かなきゃいけないのか!?