「無翼の天使」 ♯思イト想イ

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アークは天界を飛び回っていた。かつての師『ドゥーベ』等逃げた北斗七星を捜すためだ。ソルは「下界に逃げた」と言っていたので下界に行くため、アークは下界への道を探して天界中を飛び回っていた。
「どこだ、下界への通路は・・・どこにある!?」
アークは下界への道が『噴水広場』にあるということを知らなかった。無断で下界に降りられないよう、下界への行き方は実戦部隊に昇格してから教わる。まだ訓練生であるアークは行き方はおろか、通路がどこにあるのかわからない。当てもなく飛び続けていた。



数分後、



見覚えのある風景が現れ始めた。どうやら神殿付近に戻ってきてしまったようだ。
「・・・・・・。」
ふとアークは少し止まってしまった。もしかしたら自分が一人で出て行ってしまったせいでみんなに迷惑をかけてしまったんじゃないかと考え始めたのだ。
「今、みんなは何をしているだろうか・・・?」
アークは神殿に向かっていった。



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ベガはフォーたちがいる場所へ向かっていた。今は戦うことよりも市民の安全が第一だ。一つ一つ問題を解決していけばあとはこの騒ぎを止めるために全力で戦うだけだ。今は目の前の問題をどうにかしなければ・・・ベガは頭の中で予定を考える。
「(・・・大丈夫、大丈夫よ。全部簡単なことじゃない・・・落ち着けあたし・・・!)」
ベガがここまで必死になっているのはある心配が思考を邪魔してくるから、それをかき消すために必死に考え事をしているのだ。
ベガの思考の邪魔をしているのはアルタイルの安否である。あれからやはり連絡がない、何かあったのかと思ってしまうのだ。
何故そこまでアルタイルを心配するのかというと、



彼女はアルタイルのことが好きだからだ。



戦士でもベガは一人の女の子、恋だってするのだ。
「(ああもう、こんな時に何を考えてるんだあたしは・・・!?)」
ベガは頭をフルフルと振った。
アルタイルは大丈夫。何故ならプレアデス星団副団長だから、並大抵のことではやられはしない。



そうこうしているうちにフォーたちがいるところに近づいてきた。
そして聞こえてきたのだ、二つの勢力がぶつかっている声が・・・
「もう始まってる・・・あたしも準備しなくちゃ・・・」
ベガは魔法を唱える、ダークマターに奇襲をかけるために・・・



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剣がぶつかり合う音、両者の喚声。様々な音が混じっていた。ここはまさに戦場だった。フォーは自身の能力を使い、気配を消していたため狙われることはまず無かった。
「くっ、こいつら固い・・・!?いや、固くはないな、『斬りにくい』といった感じか・・・」
フォーは支給された剣で何度もダークマターを斬っていたのだが、まるで感触が無かった。煙や水を斬っているような感覚がする。
これでは倒すことができない・・・
「おい、『鯨の口』!!」
「黙れ、アル!ブッ斬られたいか!?」
フォーのことを『鯨の口』と呼んだのはフォーと同期の『アルデ・バラン』だ。
みんなは『アル』と呼んでいる。
「ちょっと遅れちまったんだが、どういう状況だ?」
「お前いつも少し遅れるよな!その癖直した方がいいぞ!?」
周りが騒がしいせいで声が聞き難い。だから大声でフォーは注意した。
「どういう状況だって?」
「聞けよっ!!」
戦時中でものんきなやつだ・・・フォーはハァ、とため息をつく。
「奴ら、どうやらただの斬撃では倒すことができない!魔法や打撃で攻撃するしかない!!」
フォーは大声で説明する。
「腹が減って力が出ねぇわ、ハッハッハ!!」
「聞けっつうの!!!あとテメェは空気も読みやがれっ!!!」
直後、



「火炎魔法"流射刃炎(ルイジンエン)"!!」
ゴッ、と音と共に鋭い炎が空から降ってきた。その炎はダークマターのみ的確に狙っていた。
ガガガガガガガッと炎が地面を刺す。ダークマターの多くは避けたがそれでもダメージを与えることはできた。
「この威力・・・ベガか!?」
アンタレスの推測は正しかった。上空にベガがいた。



「薄々は予想してたケド、まさかここまで荒れてるとは思わなかったわ。」






・・・続く!!
ベガのまさかの事実が発覚!!ww
まぁ名前で薄々予想してはいたでしょうw

『流射刃炎』
"流"れるように"射"る"刃"物のように鋭い"炎"ですw
そして『ルイジンエン』と読む   ド(`・ω・´)

アルは坂本竜馬みたいな人物かなww




マトリョシカ』版のGUMIを描いてみた(ペン入れまで)