「無翼の天使」 ♯消サレル理由

                       1
デネブのすぐそばに、布らしきものを巻いた謎の人物が現れた。
「君は・・・?」
デネブには見覚えが無かった。翼は隠しているのかもしれないが"輪"が無いところを見るとどうやら星の戦士ではないようだ。
「君は・・・誰だ?」
デネブは再度質問した。謎の人物はデネブを見下し、不敵に笑う。
「どうせ貴様は消えるんだ、教えてやろう・・・。」
「っ!?」
確かに『消える』と言った。デネブの全身が恐怖で身震いした。
「私の名は『フェイト・プロフェット』という。」
「フェイト・・・プロフェット・・・?」
やはり聞き覚えのない名前だった。少し考えたあと、デネブはもう一つ質問した。
「僕が『消える』ってどういう意味だ・・・?僕が何かしたの?」
「いや・・・お前が何かをしたんじゃない、『お前がこれから私の邪魔をする』からだ。」
「・・・言っている意味がわからない、ちゃんと説明しろ!」
ドンッ、と地面を叩きながらデネブは思わず大声で怒鳴った。
「落ち着けよ、お前が怒鳴ったところで状況は変わりはしない。」
フェイトは傍に落ちていた瓦礫を拾い、どこか遠くへ投げた。あの方向は確か星団のみんながいるところだ。
「お前の仲間がいるところに"うちの『ダークマター族』"がたくさん向かっているぞ?」
「なっ!?」
「数にしておよそ七十、と言ったところかな、もともと三十体向かわせたが面白そうだから四十ほど追加させといた」
フェイトは適当な調子でとんでもないことを言った。
「面白そうだから・・・?そんな理由でみんなを苦しめるの!?ふざけるな、命を何だと思っているんだ!?君たちにそんな権利があるわけないだろ!!今すぐにやめさるんだ!用があるのは僕だけなんだろ!?他のみんなは関係ないじゃないか!!」
デネブは必死に叫んだ。そして、珍しく怒った。デネブは命を弄ぶようなやつが一番嫌いだった。今までたくさんの星を見てきた。住民に生気がない星だってあった。活気にあふれる星だってあった。命を大切にするだってあった。犯罪が多く発生している星だってあった。
でもどの星にも絶対にいないのは。

"命"を粗末に扱うやつだ。

あくまでデネブが見てきた星なので、宇宙のどこかにはそんなやつがたくさんいる星だってあるかも知れない。
それでも許せなかった。許せるはずがなかった。
「君は許さない、僕だけならかまわないのに、関係ない人を巻き込むなんて絶対に許さない!!」
デネブは立ち上がり、銀河物質を手に持った。身体能力が制限されていようが関係ない、ただ目の前の敵を倒す。今はそれだけしかデネブの頭には無かった。
だが、
「おっと、説明し忘れたな。お前だけじゃない、『プレアデス星団のお前らが私の邪魔するからプレアデス星団を消す』んだ。」
「え・・・」
デネブの思考が止まる。邪魔なのは自分だけじゃなくて星団のみんなも・・・?
直後、
ゴァッ、とデネブの腹に激痛が走った。
「ぐっ・・・!?」
一瞬で、一撃で、フェイトは宇宙で最強と呼ばれるデネブを沈めた。
デネブは地面に倒れた後、ピクリとも動かなくなった。


                       2
不可解なことが起きた。
カストルはアルタイルの動きを見ていたが、
「(あの魔法は絶対に当たってた。なのに・・・何であいつらはまったくの無傷なんだ!?)」
アルタイルが放った魔法は一つ目たちに狂いなく当たっていた。アルタイルも手ごたえは感じていた。
「・・・何が?」
アルタイルは目を見開いて自分の手と無傷の一つ目を交互に見た。
「くくく、どうした?まるで我々に魔法が当たっていたはずなのに少しも傷を負っていないことが信じられないといった様子だな?」
その通りだった。一つ目がなにか細工でもしたんだろうか?
「(いや・・・違うな)」
アルタイルは一つ目を見ながら考えた。
「(魔法に細工をすることはできない。もしあいつらが自身の体に細工をしたというにしても汚れさえついていないというのは不自然すぎる・・・)」
アルタイルは一つ目が先程落ちたところを見た。
「(実体がない・・・ということもないか、さっき俺はあいつらを掴んであいつらに当てたしな・・・)」
だとしたら何が起こったのだ?魔法が不完全だったわけでもない。
「・・・何を、しやがったんだ?」
アルタイルは控えめに一つ目に訊いた。
「何をしたかだと?別に我々は何もしていない・・・」
一つ目はさらりと答えた。
「ざけんな!そんなわけねぇだろ!?何かしない限り、魔法が当たらないなんてことはありえねぇ!!」
「だから言っただろう、別に"我々は何もしていない"と・・・」
つまり、
「お前らじゃない誰かがお前らに何かを施した・・・?」



・・・続く!!
なかなか進まないねw
それでも前には進んでるんだ!!(ゑ


ニコニコ超会議めちゃくちゃ混んでるっぽいねorz