「無翼の天使」 ♯静カナル来訪者

                      1
その頃・・・
天界で最も大きな浮島に建っている神殿に謎の人物が現れた。
「・・・では、この件はすべて拒否すると?」
体中に布らしきものを巻いた人物は消えそうな声で問うた。
「ああ、この天界に天界人以外の生き物を住ませるわけにはいかない。お引き取り願おう。」
体中が太陽のように燃えていて、どこか上から口調のこの人物の名は
『ソル』という。
星の戦士の中では最も強い人物と言われ、天下一強いと評価されている。
彼の周囲を囲むように丸いテーブルが何重にも置かれ、そこに一人ずつ座っている。
その数はソルを除いておよそ11。
想像し難い方は『太陽系』のような形でテーブルが置かれていると思っていただければいい。
ソルが何を拒否したのかというと、
突如現れた謎の人物は「この天界の土地を分けてほしい。」と嘆願しにきて、
それを拒否した。ただそれだけのことだ。
「・・・そうですか、わかりました。ですが」
「拒否すると言ってるだろ。これ以上会議の邪魔をするってんなら貴様の魂ごと溶かしてやろうか・・・?」

ゴゥッ!っとソルの周りの温度が一気に上がる。
他の戦士にも被害が及んでいた。
「ソル、あなたの気分で勝手に室温上げないでください。ただでさえ暑いのに・・・」
一番ソルに近い席に座っている戦士が丁寧な口調ながらも室温の急上昇を訴えている。
この戦士の名は『エルミス』といって、体の一部が水のようになっている。
しかし、実はエルミスの体温はかなり高い。うっかり握手すると一瞬にして手が溶けてしまう。
触らなければ特に害は無い。ちなみに足だけ体温は普通である。
「・・・失礼致しました。それでは失礼します。」
謎の人物はゆっくりと出口に向かっていった。
「・・・(いずれ後悔することになりますよ?ククク・・・)」
「・・・なんか言ったか?」
「いえ、そうだ、この神殿、戸締りが悪いですよ?私がいい鍵師を紹介しましょうか?」
「いらんお世話だ、はやく行け。」
「では・・・」
バタンと会議室のドアが閉められた。
これで良かったのだ。
ソルは心に少し不安を抱きながらも室温を下げた。
「・・・それでは、会議を再開する」

                       2
そういや、今日は五時までに帰んなきゃいけないんだっけか?
べテルの買い物に付き合いながらフォーは適当に考えた。
べテルは果物を見ている。食べ物は寮の食堂で簡単に手に入るのだがべテルはなぜか食料品を買っている。
「なんで食料品買ってんだよ?食堂で手に入るだろ?」
「部屋で食べるの!部屋にいるとおなかが空くんだよ。」
部屋で何やってんだよ・・・
フォーは空を見ながら子供らしいべテルの言葉に心の中で鋭くツッコんでいた。

                       行間
森の中心部まで行くと、布らしきものを巻いている人物は手を宙にかざした。
するとズズズズッと空間に星型の穴が開いた。
「始めろ。予定通りの展開になった。」
先ほどとは口調が変わっていて声もはっきりしている。
突然、星型の穴から黒い雲が出てきた。
それは複数に分かれていきその一つ一つに一つずつ目玉がギョロリと開き、周囲を見渡す。
「目的はただ一つ、これからの計画の支障をきたすであろう『プレアデス星団』の奴らをひっ捕らえることだ。そのためなら町を破壊しても構わん。捕らえたら広場に集めろ。」
「・・・了解しました」
複数の一つ目は森の上を飛んで行った。
その数はおよそ100。


                       3
カストルは広場を歩いていた。なんてことのないただの散歩だ。
隣にはカストルを鏡に映したものが実体化したみたいにカストルに似ている人物がいる。
名を『ポルックス』という、カストルの双子の弟だ。
「・・・にしてもカストルが俺らの中で最初に実戦部隊になるとはな。」
皮肉そうにカストルを褒めている人物は『アーク・トゥルス』。
「うるさいなぁ、余力だよ余力。余力の成果だよ。」
「『努力』な。どんな間違い方だよ・・・」
幼稚園児でも間違えるはずのない単語を兄は間違えた。弟としてはかなり恥ずかしい。
「・・・ほんとに実戦部隊になれたのかよ?」
国語力も乏しいこんな奴が実戦に行って役に立つのだろうか・・・?
アークは色々心配した。すぐに辞めさせられるんじゃないか、と。
「まぁ先は越されたが、すぐに追いついてお前より強くなってやる」
アークはまぁまぁ強いのだが、手についている籠手のようなもの、これがないとほとんど戦うことができない。
「この星具、『光線爪(ネイルガン)』を使いこなせるようになればお前に余裕で勝てるのにな・・・」
「お前じゃ俺にビンタすることもできねぇよ」
かなりうざい挑発なのだが、カストルの言ってることも尤もなのだ。
何故か誰もカストルに攻撃することができない。
いや、できないこともないのだが、どんなに全力で攻撃してもダメージを与えることができないのだ。
これはカストルの能力によるものなのだがカストル自身と弟のポルックス以外その詳細を知る者は誰1人としていない。
三人は『プレアデス星団』の一員で、アークはまだ新入団員として実戦に行けるよう訓練中の身だ。ポルックスは実戦に行く気が無いので試験は受けていなかった。
つい先日アークは実戦部隊昇格試験に落ちたばかりだった。
また数か月訓練するのだがアークは落ち込んでいない。
「下積みが多いほど後が楽しくなるってもんだ。」
アークはどや顔でカストルに言う。
これはこれでイラッとくる。
「・・・まぁいいや、俺明日からしばらく下界に降りるし、お前らヴァンガれよ。」
「言われなくても。あと『頑張れ』な。」
「兄さんも頑張れ!色んな意味で。」
2人とも最後に余計なひと言が入ってた気がするが・・・まぁいい。


・・・続く!!
いろいろおかしい希ガス・・・
まいっかw
次回も閲覧よろしくね(黙
なんか挿絵頑張っちゃった☆
柱は適当に書き足しただけなんでそこだけ手抜き((
そういやシエナたんの挿絵なかったね^ ^;