「無翼の天使」 ♯星団敗北

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突如、自分たちがいるところの真上・・・上空に、無理矢理開くようにして星型の穴が開いた。その周りの空間はねじ曲がっている。
その穴の中から、白い球体が出てきた。その球体に、ダークマターたちは集まっていった。
白い球体の中心で、紅い目がゆっくりと開いた。その色は、まさしく『血』・・・。
「・・・なんだ、来てみれば退屈そうな戦場だな」
その球体は辺りをキョロキョロと見渡しながらつぶやいた。
フォー・マルハウトは突如現れたその球体を、球体の目を見ていた。
「なん・・・だよ、コイツ・・・!?」
その紅い目から、光など感じられなかった。希望など映っていなかった。もはや"星の戦士を見ていなかった"。星の戦士とダークマターの戦いの中にいながら、『星の戦士は眼中にない』ということを、その目が語っている。
「ふむ、さっさと終わらせるか。私とて暇ではないが、ここに呼ばれたからには最後まで付き合ってやろうぞ・・・!」

白い球体はそう言うと、目の周りに六つの切り込みのようなものを開いた。目を凝らせば『中身』が見えそうで、見ていて気分のいいものではなかった。
「誰だお前は!?」
フォーは白い球体に向かって大声で叫んだ。叫ぶ必要も無かったと思うが、叫ばなければ相手は答えてくれそうになかった。しかし
「・・・ん、今どこぞの虫けらの声が聞こえたのだが?」
きっと、どんなに叫んでも、アイツに聞こえはしないだろう・・・そこにいるプレアデス星団員は全員、そう直感した。しかし、ここで引き下がるわけにはいかない。フォーは白い球体になりふり構わず突っ込んで行った。だが、フォーは白い球体から10mほど離れたところで、進行方向とは反対の方向に吹っ飛んだ。
「なっ・・・!?」
フォーは2回ほど地面でバウンドし、地面を滑っていく。20mほど吹っ飛んで、ようやくフォーは止まった。フォーの体は吹っ飛んでる最中、石や砂などと擦ったせいで擦り傷だらけになっていた。
「・・・虫けらのくせに中々根性があるではないか。『一寸の虫にも五分の魂』・・・というところか?」
白い球体はやっとこちらに意識を向けた。それを察し、フォーは再度質問した。
「もう一度言うぞ白玉野郎・・・てめぇは誰だ!!」
「ククク、『白玉野郎』か・・・言いよるな。良いぞ、教えてくれよう」
フォーの罵声が逆に気に入ったのか、白い球体は愉快そうに答えた。



「私の名は『ゼロ』・・・ダークマター族の長だ」



ダークマター族の親玉・・・つまりは、この黒い一つ目たちを統べる者。フォーを含んだそこにいるプレアデス星団員は息を飲む。
黒い一つ目だけでも十分強いというのに、そいつらを従わせる親玉・・・。その強さは計り知れない、何より近づけないのだ。まるで磁石の反発のように、近づいたら反対方向に吹っ飛ぶ。恐らく、近づいていくスピードが高いほど吹っ飛ぶ距離も長くなるだろう。
「・・・独り戦況報告。状況は本当の意味で『絶望的』・・・」
フォーはにやけながら思わず呟いた。
「ゼロ様、目的は『プレアデス星団員の捕獲』です。くれぐれも"やり"過ぎないよう、お気を付け下さい。」
ゼロのそばにいたダークマターはゼロに囁いた。
「・・・それは保証しかねるが、それがフェイト様の命なら聞かないわけにもいくまい。まぁ、すぐに終わらせるさ、お前らは全員離れていろ。"私一人で十分"だ。」
「りょ、了解しました・・・」
そう言うと、70ほどいるのダークマターは一斉に戦場から離れて行った。ゼロはそれを見届けると、
「そう、"残りの2人"が来なくとも、私1人で十分だ・・・!」
直後、ゴッ!!とゼロを中心に激しい爆風のようなものが巻き起こった。その爆風は勢いを弱めることなく音速以上のスピードで半径2キロまで広まった。
爆風といっても、火薬や爆薬を使ったものではないので、人体に深刻なダメージは無い。そして、この爆風自体にも深刻なダメージを与えるほど大した威力は無い。問題なのはその爆風によって吹っ飛ばされたそこらへんに散らばっていた岩や瓦礫、木材などだ。特に、吹っ飛んだ木材は爆風により削られ、鋭利となってプレアデス星団員に襲い掛かった。
ある者は吹っ飛ばされ岩に激突し、ある者は鋭利になった木材で体中を切られた。そしてある者は爆風自体にダメージを受けた。
爆風によって巻き起こった砂煙が辺りを暗く包んだ。
数分後、
煙が無くなり、ゼロが辺りを見ると、そこにいたプレアデス星団はみんな倒れていた。ほとんどの者が気絶していることだろう。
「・・・ふん、因果応報というやつだ。貴様らは我々にとって非道なことをした。その報いだよ・・・」
ゼロがそう言うと、離れていたダークマターたちが戻ってきた。
「よろしいですか・・・?」
「ああ、はやくこいつらを連れて行くがいい。」
ゼロは少し目を伏せ、天を見上げた。すると、不意に微かな声が聞こえてきた。
「俺・・・たちは、負けちゃ・・・いねぇよ」
フォー・マルハウト。ゼロはその者の名を知らないが、『最初に突っ込んできた虫けら』ということでフォーのことを覚えていた。
「まだ意識があったか・・・」
「因果・・・応報とか、俺らには・・・関係無ぇだろ・・・?」
フォーは今にも消えてしまいそうな声で文句を言う。ゼロはそれを見て呆れた。
「貴様がそうは言っても事実、我々の星は貴様らのせいで滅ぼされた。否、"貴様らによって滅ぼされた"。貴様が詳細を知っていようが知っていまいが、貴様ら星の戦士全員に償ってほしいものだ・・・」
「・・・はっ、事情も知らねェのに・・・償いもクソもあっかよ・・・」
「何と言おうがこれから貴様らにはその罪を償ってもらう。これから、貴様らはすべてを失う。」
「死んで、償えってか・・・?」
「安心しろ、命まで取りはしない」
「けっ・・・『償ってもらう』とか言っといて・・・案外甘ぇのな・・・」
その言葉を最後に、フォーはゆっくりと目を閉じ、体の力が抜けた。ダークマターがフォーの体を自分の体に固定し、指定された場所へ向かっていく。



こうして、
『ベテル・ギウス』、『ベガ』、『ポルックス』、『アーク・トゥルス』、『アンタレス』を除いたプレアデス星団は全員意識を失い、噴水広場へと連れて行かれた。





・・・続く!!
そろそろクライマックスに突入していきます。
まぁ、後日談みたいなものも書くんで、まだ終わりそうにないですけどw
プレアデス星団の皆さんあっさりヤラレチャッタ。でも攻撃しようにも近づけないから、どうしようもないよねw
ゲームのゼロはこんなにチートじゃないよ!楽勝だよ!!



挿絵と被るようで悪いけど、ゼロを描いたのらw

こっちの方が時間かけましたww


そして、早くも「USDXな物語2」の第68話が完成!!

音量注意!!


美呪亜流手裂印・・・78点

シエナ「相変わらずパッとしない点数ね」
Wander「泣くぞ、すぐ泣くぞ、絶対泣くぞ。ほら泣くぞ。俺が。」
シエナ「わ、わかったわよ、悪かったわね」
Wander「このセリフ、男子としての威厳が危ぶまれる・・・orz」
シエナ「まぁ、赤点取らなかったんならいいんじゃない?」
Wander「シエナたん、今度の日曜日レタリング検定あるんだけど・・・」
シエナ「『シエナたん』言うな!だから何よ」
Wander「応援しt」
シエナ「わかったわよ!応援してあげるから『シエナたん』はやめてよね!?」
Wander「あざーすw」