「Free dom」 ♯俺様鬼ごっこ4

隠れるところがあるほど植物や遊具はないがこの公園の誇ることはその『広さ』だ。
有名なネズミがいる某テーマパークほどある。想像しにくい方は柵のない牧場と思ってくれればいい。
そこで五人で鬼ごっこをやるというのは無謀なのだが、奇人・変人が多くいるルークのクラスではなんら障害ではない。

ネロはドレイクを捜して彷徨っていた。
この広い公園内で一人の人物を捜すのは気が遠くなる話だ。
皆さんは某テーマパークで迷子を捜したことはあるだろうか?
テーマパークなどでは迷子センターで迷子を簡単に見つけることができる。
しかし、ここはあくまで税金によって作られたただの公園なのだ。
迷子センターなんてものは無いし、相手は迷子じゃないから常に動いたり隠れたりしている。
唯一の救いが、あまり人がいないということだ。
人がいないと見通しが良い。
しかし・・・
「罠・・・?」
所どころに草結びやらの罠が作られていた。
こんなバカバカしい罠を作れるのはドレイクしかいない。
「誰がこんな見え透いた罠に引っかかるかっての」
直後、ズッっと視界が暗くなった。
「・・・。」
一番引っかかったらカッコ悪い罠にかかってしまった・・・。
「落とし穴って・・・こんな短時間で作れたっけ?」
深い落とし穴だった。2mくらいはあるだろうか、ネロの頭までスッポリはまっている。
脱出するのは簡単だが、問題はこの間に標的が移動する可能性があるということだ。
これほど大掛かりな罠を作ったってことはどこかでドレイクが見ているはずだ。
一般人が引っかかってしまったら大変なことになるので、すぐに救出できるように見張っているはずだ。
「おーい、大丈夫か?」
突如聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「・・・スタールか」
スポーツドリンクを持っていた。
『鬼返し』は禁止なので標的にはならない。
・・・どうやらもう怒ってないようだ。
「誰かいないか歩き回ってたんだけどよ、なんか線を追うように罠が仕掛けられてたからそれを追ってたらお前を見つけたわけだ。」
「線を追うように・・・?」
確かにそんなかんじに罠が仕掛けられていたような気がする。
だとしたらそれを追っていけばドレイクを見つけられるのでは?
「とりあえず助けてやるよ。友達としてみっともないから。」
スタールが手を差し伸べてきた。
別にそんなことされなくても出れるし、と思いつつスタールの手をつかんだ。
すると・・・
スタールが落ちてきた。
「・・・何やってんだよぉぉぉ!?」
「いや、なんか蹴られた」
蹴られたって、誰だよそんなことしたの・・・
スタールが落ちてきたおかげでネロは落とし穴の淵に届かない体制になっていた。
スタールじゃ手を伸ばしても届かないだろう、なんか俺と壁の間に挟まってるし・・・
「・・・どーすんのよ、コレ?」
ここは公園、助けを呼ぶにも人の気配がない。
「あっははは、引っかかってる、引っかかってる♪」
ドレイクだった。
どうやらこいつがスタールを背後から蹴ったらしい。
「悪戯の域超えていじめに達してる気がするんだけどドレイク?」
「ごめん、なんか背後が隙だらけだったもんで、つい・・・」
一応反省してるんだな。
でも、さすがに落とし穴に落とすのはどうかと思うぜ。
「ほら、手」
「・・・サンキュ」
三分後、
ネロとスタールは落とし穴から脱出した。
そして、すぐにスタールと全力で逃げた。
・・・何故かって?
「なに鬼の手つかんでんだよ、バカか!?」
「あ・・・」
ネロとスタールを落とし穴から救うためにドレイクは『ネロの手をつかんだ』。
普通、こんな凡ミスは小学生でもしないだろう。
でもドレイクはそんなこと微塵も考えてなかったようで・・・
ドレイクは、やっちまった・・・って顔をしてる。
「あっはははぁ!!借りは返したぜ!?」
とにかく逃げた。
仕返しした後は気分がいいなぁ、とスタールの気持ちがわかった気がしたネロであった。


「なんだ、見てたのか。」
「なんか面白そうだったから」
ルークはカレンに気づいてカレンと話していた。
2人は幼馴染同士で、カレンはルークのことはどうとも思ってないようだが、
ルークはカレンに対してちょっと好意があるようだ。
ちなみにこのことは校内の三年男子内では有名な話。
2人の話を聞きながらレインはアンと話していた。
「彼氏とかいんの?」
「い、いえ、別にいませんよ。」
なんて話をしながらレインはまわりを見渡していた。
『裏切りアリ』という忘れてはならないルールが発動している限り、
参加者全員が敵なのだ。油断はできない。
レインが缶コーヒーを開けようとしたところでネロとスタールが視界に入ってきた。
「なんか走ってきたぜ?」
レインは眉を少しも動かさずルークに伝えた。
「あ、お兄ちゃんだ。」
ルークはカレンとの話を中断し、走ってくる二人を見つめた。
「どうやらネロは鬼じゃなくなったらしいな。スタールと並走しているところをみると、今の鬼はドレイクか・・・?」
ルークが現状を把握すると、準備運動を始めた。
走る準備をするようだ。レインは特に足が速いわけではないので、速く走るための最低限のことをした。
一番油断すべき場面は鬼から逃げている時、突然腕や足をつかまれたりするかもしれない。
逃げる時もなるべくルーク達から距離を置くべきだな。
なーんて考えてるうちにドレイクが走ってきた。
・・・なぜかレインを狙っていた。
「レインんんんんんんんん!!!」
「えぇぇぇぇ!?俺ドレイクになんかしたっけぇぇぇ!?」
身に覚えがない。あるわけない。
だって事実、なーんにもしてないんだからっ!!
逃げなければ、意味がわからないけどとにかく逃げなきゃ!!
「どっせいィィィィ!!」
突然動きが止められた。
・・・ルークが。
「はっ!?」
ネロがルークの腰に手を巻いたのだ。
『鬼返し』は禁止なのでネロがタッチされることはまずない。
犠牲になるのはルークただ一人。
けど・・・
「ドレイクって俺狙ってんじゃなかったっけ!?」
ドレイクはレインしか見えていないはず。
いや、腐向けな意味じゃなくて。
そんなこと考えてるうちにタッチされた。
・・・ルークが。
「えぇぇぇ!?俺の名前叫んだ意味はぁぁぁ!?」
「特にない」
おい。
・・・どっちにしろ一番の脅威が鬼になったわけだから逃げなければ・・・!
レインははぐ○メタルの如く逃げた。


タッチされた。
・・・よくわかんないうちに。
『裏切り』が発動したのは理解できた。
問題は・・・
「なんで俺なんだよ・・・!?」
「いや、夢中だったもんで・・・」
前触れもなくネロが自分の腰に手をまわして動けないようにしたのだ。
お前は前回鬼だったんだから逃げる必要ないだろが・・・!!
ネロは土下座の準備をしている。
「お兄ちゃん・・・」
カレン達の目の前で捕まったので、カレン達はルークとネロのやり取りを目の前で見ていた。
「・・・土下座しようとすんな、立て。」
「はい・・・」
俺今鬼なんだから土下座しようとせずに逃げろよ。
「なんで俺なんだ?」
「いやだから振り切ることに夢中だったから・・・」
・・・ダメだ。このままでは会話がウロボロスと化する。
・・・もう追求すんのはやめよう。
ルークは次第に笑顔になっていった。
怒りとか恨みとか、そんな感情ではない。
許す。所詮遊びだから。
『裏切りアリ』って言ったのは自分だ。そんなことでは怒れない。
それでも・・・

「タッチの威力十倍にしとくか?」
「ひぃっ!?」
スッパアァァァンッ!
という音が半径100mに響いた。


・・・次回に続く!!
後半意味不?気にすんな((
いつ終わるんだろね、コレ?w
明日から本格的に高校生活開始!!
書くことはこれだけ((