『モモ』其の捌 「一行、進む」

体育でマラソンをしたが4キロなんて走るのは初めてだ、せいぜい2〜3キロくらいしか走らない。
1キロくらい走ったところで、
「はぁ・・・やばい横っ腹痛い・・・」
隼がそう言い、左側の横っ腹を押さえ始めた、そのせいで少しペースが落ちる。
「・・・大丈夫ですの?」
五月はペースを隼に合わせ、順に近寄る。彼女は余裕綽々だ。
「さっきまでの対立が嘘のような光景ね、アレ・・・」
「そ・・・う・・・だね・・・・・・」
思ったよりペダルが重くなり、一漕ぎするのにかなりの体力を持って行かれる。しかも安全の為立ち漕ぎができないため、更にキツイ・・・おかげでモモの言葉に対してまともな対応ができない。スピードに乗れば多少楽になるのだが、隼達の速度に合わせているため、自転車の本来のスピードを出すことができない。そしてタカは天端という狭い道幅を走らなければならないため、体力的にも精神的にも集中しなければ思わぬ事故に繋がりかねない。
「えっ・・・と、大丈夫?」
「全・・・然、大丈夫」
状況的にもやせ我慢にしか聞こえないが、ここは彼に任せるしかない。
「ほら、深呼吸して・・・浅く息をしすぎですわ、もっと深く呼吸しないと」
「なんで・・・お前は、そんなに・・・息切れしてないんだよ・・・」
「ちゃんと部活に言ってるからよ!」



なんだかんだで一行は休憩することにした。
「はぁ・・・はぁ・・・やべぇ、運動不足かも・・・」
「情けないですわね・・・それでも運動部ですの?」
「最近部活サボりがちだしね・・・でもほら、橋が見えるよ?」
隼、五月、タカ、特に運動していないモモの四人は冬の冷たい風を受けながら川表の法面に寝転んでいた。
タカが指さした方向に橋はあった。あと500mほどだろうか、ほぼ目の前だ。
「校内で一番速いというのがちょっと怪しいですわ」
「まあ、200m短距離走限定だしね〜・・・長距離だったらさっちゃんの方が速いと思うよ?」
「そうかしら?・・・でもこれを反省してこれからはちゃんと部活に来なさいな」
「ちっ・・・しゃあねぇな」
「犬井君・・・一体何のために部活入ったのさ・・・」
そんな雑談と共に休憩を終え、一同は再び天端に降り立った。隼は念のため柔軟運動を始め、五月はそれを手伝う。タカは自転車の調子を窺い、神経を研ぎ澄ます・・・モモは彼らの様子をただ見ている。一体これから何が始まるのか疑問になる光景だが、彼女らの目的はただスーパーに行くだけである。
「ラウンド2・・・スタート!」
モモが号令をかけるとタカが自転車に乗り、隼と五月は構え、モモが自転車の荷台に乗ると一斉に走り出した。
一体何をしているのかと疑問に思う光景だが、再度言おう・・・彼女らの目的はただスーパーに行くだけである。



続く・・・
中二って何やっても許される(?)ね、やりたい放題だよまったくw
皆さんは部活サボっちゃダメですよw