『モモ』其の伍 「犬猿、和解す」

「あれ、さっちゃん」
「あん!?」
隼はモモの言葉で表情を180°変えた。つくづく表情豊かな人だ・・・とモモは思う。
モモの言う通り、五月がこちらに近づいてくる・・・しかし彼女に表情は無い。
「川本さん、こんなのに自転車の乗り方教わったって上達なんかしないわよ・・・?」
「"こんなの"って・・・いちいちムカつくなお前は・・・・・・!」
隼は額に血管を浮かべ、五月を睨む。本当にこの二人は事あるごとに文句を言いあう・・・モモからしてもいい加減にしてもらいたいほどだ。
「あ〜ら、あなたの方が変なことを言ってくるからじゃなくて?」
「言いやがるなこの女・・・ホントにムカつく・・・!!」
ギャーギャー言い合っている二人をよそに、モモは時間を気にし始めた。午前9時半・・・少し早めに家を出たのが幸いしたか、もう少しくらいならゆっくりしていられる。しかしこの二人の仲良し喧嘩は何時になったら鎮静化するのだろうか、それによってこれからの予定が大きく変わる・・・なるべく早めにどうにかしてほしい。
しかし、一行に治まる気配が無い・・・ついでにタカも帰ってこない。
「もぉ〜、一人で行った方が良かったかもしれない・・・」
ぶっちゃけこの2人のやり取りはもう面倒くさい、時間を無駄にするだけで他人にとっては迷惑なものでしかない。その言葉を聞いた隼と五月は言い争いを止めた。
「私買い物に行きたいんだけど・・・二人の喧嘩見に来たわけじゃないんだけど・・・」
「わかった・・・わかったよ、ごめん悪かった。仲良くすればいいんだろう?ほら握手」
「ごめんなさい、別にそんなつもりじゃなかったの・・・!ほら仲良く・・・」
「な・・・仲良・・・く・・・・・・」
「な・・・・・・か・・・」
隼と五月は向かい合い、握手を交わそうとするが・・・今の今まで喧嘩していた相手と途端に仲良くなれるはずもなく、両者の手は空中で震えていた・・・モモはジト目で二人の震える手手を見つめている。その視線に耐えかねたのか、隼が意を決して手を動かした。隼の手が五月の手を取った瞬間、隼と五月は苦笑い・・・しかしモモは満面の笑み。
ということで隼と五月は(一時的に)仲直りしたのである。



タカはその一部始終を遠目に見ていたが、恐らくこの仲・・・些細なことで崩れるに違いない・・・と思い息を飲んだ。しかしモモに同行を頼まれた手前、ここで離脱するわけにははいかない・・・・・・。
「うぅ〜、行くしかないかなぁ〜・・・」
隼と五月の喧嘩を見聞きすると起こる腹痛・・・彼の体質を彼自身恨むだろう。
しかしこの腹痛、最初は特に感じなかったのだ。隼と五月が仲たがいした少し後までは特に何ともなかったのだが、会うごとに、毎日彼らの言い争いを特に近くで聞いていたら次第にそうなっていったのだ。ストレスによる腹痛の一つだが、こんな症状を持つのはタカだけだろう。
「・・・・・・えーい、ここはもう賭けるしかない!」
タカは思い切って三人の元へ駈け出した。




続く・・・
今回は短くてすみませんm(_ _)m
しかしモモの喝により隼と五月は一時的に(←ここ大事)仲直りw



ここでキャラの名前の由来でも・・・

「川本 モモ(かわもと もも)」
『桃太郎』の桃は川から来たので、川が本・・・そして川本となり、桃太郎を女子にしたら"モモ"しかなかったので・・・"川本 桃"だとなんかかわいくないのであえて"モモ"にしましたw


「犬井 隼(いぬい じゅん)」
"犬井"は"犬"が付く名字で適当に選んd((
"隼"は『犬=速い=ハヤブサ(?)=隼』という勝手な自己解釈でつけましたw


猿江 五月(さるえ さつき)」
"猿江"は上記の"犬井"同様、"猿"が付く名字を適当に(ry
"五月"は『猿=うるさい=五月蠅い』という勝手な自己k(ry


「雉岡 タカ(きじおか たか)」
"雉岡"は上記の(ry
"タカ"は鳥の仲間で馴染み深い名前ということで"タカ"としました。というか正直適当です(え


皆さんはくれぐれも自身の子供にこんなふざけたチョイスで名前を付けないであげてくださいね?(黙