『モモ』其の弐 「犬井、裏切る」

『鬼ヶ鳥』・・・世の値段高騰にも負けず、消費者が涙目になるほどのサービスを提供するスーパーだ。万引きへの取り締まりも徹底し、未然に防ぐための工夫も施している。しかしその値段の安さ上、ネット上では「何か裏がある」だの「怪しい商品」など尤もな疑問で叩かれている。
しかしながらそんな問題はこの物語にとってはどうでもいいことで、話はモモとその下僕・・・ではなくお供(半強制的)の隼に戻る。



200mの追いかけっこのおかげか体が温まったモモと隼はスーパー『鬼ヶ鳥』に向けてその歩を進めていた・・・のだが、その途中で"隼が苦手とする人物その二"に出会ってしまった・・・正直出会いたくもなかった。
「のこのこと私の前に現れるとはいい度胸じゃないの・・・!」
またか・・・やっぱ早めに起きたのが間違いだった・・・と隼は眉間を指で押す。彼女の名は『猿江 五月』、モモや隼と同じクラスでクラスの中ではモモの次に活発でモモ以上に五月蠅い。何故か隼によく当たり、何かにつけて文句を言ってくる。
しかしモモはそんなことは気にしない、他人のコミュニティー事情なんて関係ない。
「さっちゃん、こんな早くから何してんの?」
「それはこっちのセリフでもあるんだけど・・・・・・私は『鬼ヶ鳥』に買い物に」
「あっ、そうなんだ。じゃあ一緒だね〜」
「・・・・・・へぇ〜、あなた達も行くんだ・・・ふ〜ん」
隼にとっては「なんか変な誤解を受けてるような・・・」という困惑よりは「さっさとどっか行け・・・!!」というイライラの方が大きい・・・他人に苛立ちを誘うように隼はモモに貰ったガムをクチャクチャと聞こえるように噛みまくる。
「・・・ちょっと、さっきからクチャクチャとうるさいわよ。私の神経がおかしくなる前にさっさと私の前から消えてくれないかしら?」
「くちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃくちゃ」
互いに挑発し合う2人の嫌がらせ(?)はどんどんエスカレートしていく。
「子供みたいな黙り方ね・・・ああそういえば、犬は噛むことしか攻撃ができないんでしたっけ?」
「ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ」
「あの・・・二人とも?」
モモは二人の抑止に努めてみようとするが二人の間に発生している火花は治まりそうにない。モモがあわあわと困っていると、隼は急に走り出し、いなくなってしまった。残された二人・・・その一人モモは一瞬呆気にとられたが、やがてハッとこの出来事を把握する。
「う、裏切り者ーっ!!契約はまだ発動してるのよー!?」
そう言うとモモは隼を追いかけて行ってしまった。一人残された五月が疑問に思ったのはただ一つ・・・
「・・・・・・契約?」



モモはいなくなった(逃げた?)隼を追いかけるが、運動に疎いモモが校内で一番速い隼に追いつくというのは無理な話で・・・しょうがなく一人で『鬼ヶ鳥』に向かうことにした。
「もう・・・何なのよ〜、勝手すぎるわよ」
プンプンと文句を言いながらモモは目的地を目指す。やがて土手に出、橋を渡ればスーパー『鬼ヶ鳥』はすぐそこだ。
「あれ、川本さんだ」
「ん〜・・・あ、雉岡君」
名前を呼ばれたモモが声がした方を向くと、そこにはさわやかな少年が立っていた。彼は『雉岡 タカ』、さっきの二人と同じくクラスメイトだ。
「そうだ雉岡君、ちょっと手伝ってくれない?お昼ご飯の材料買いに『鬼ヶ鳥』行くんだけど、さっき隼に頼んだんだけど裏切られちゃって・・・」
昼ご飯の材料を買うのだが、ついでに親の為に夕飯も作ろうと思っているため夕飯の材料も買わなければならない。そうなると必然的に荷物は増える。
「え、こんな僕で良かったら別にいいけど・・・」
「やったー!雉岡君ありがとー!お礼にガムあげる」
モモはポケットからガムを一つ取り出し、タカの手に握らせる。なんとも安い報酬だが、タカにとっては嬉しいものだ。
「あ、ありがとう」
「じゃあしゅっぱーつ!」
失いかけたテンションを取り戻したモモ・・・新たに加わったタカと共に目指す旅の目的地は近い。




続く・・・
ここで犬(?)がまさかの裏切りw
そして猿(?)も仲間に加わらず・・・
新たに雉(?)が加わり、モモの旅も終盤へ・・・(早いよ



日焼けが痛くて死ねるorz




日本政府は甘いと思うね。「遺憾の意」としか言ってないどっかの誰かさんも一国民として情けないわw