「希望の翼」 ♯目覚メ

どの位時が過ぎたのだろう・・・?
時計も無ければカレンダーも無いこのくらい洞穴で、一体どのくらいの期間過ごしたのだろうか?外で獲物を獲り木の実を採り、川で水を汲んでそれを飲んでいく日々、規則的な生活を、果てしないほど長く続けてきた気がする。
「もう・・・魔力が、足りない」
どのくらいの期間過ごしたのかは知らないが、ずっと瞑想もせずに隣に横たわる大切な人を守ってきた。
瞑想をすることで体内に魔力を溜めることができるのだ。いわゆる充電のようなもので、一定時間以上は瞑想を続けていないと魔力は満タンにならない。
彼女は知る由もないがベガが過ごしてきたのは249年もの年月だ。この249年の間、彼女はずっと眠り続けているアルタイルの身を守ってきた。そのために魔力を大量に使ってきた。ベガが星の戦士の中で一番すごいところは瞑想無しでもこの瞬間まで魔法を使えるということだ。最後に瞑想したのは249年前のダークマター襲撃前・・・その時から一度も瞑想をしていない。この膨大な魔力の多さが彼女の長所であり、この長所があったからこそアルタイルを今まで守れたと言っても過言ではない。
しかし、その大量の魔力も底を尽きている。魔力がゼロになっても基本的に人体への影響はないが、ベガは少し事情が違った。額にある第三の目・・・この目はベガの魔力がゼロになりそうなとき、自動的に開く。魔力が尽きればベガは攻撃手段が無くなり、一切敵に痛手を負わせることができなくなる、そして自身も守れなくなってしまう。しかし、第三の目が開くことにより、魔力が無くなるということをストップさせることができるのだ。第三の目が開くと、体中が固い殻に包まれ、しばらく元の姿に戻れなくなる。
「・・・・・・うっ」
頭がふらふらする。もう魔力が無くなるのだ・・・ベガはそう悟る。すると急に額が熱く感じ始めた。やがて、ゆっくり額の目が開き始めた。「もうこれ以上魔力は使わせない」と言われているかのような感覚がし、気付いたら体中が殻に覆われてしまっていた。
「・・・はぁ、これいつ戻るのかしら?」
ベガは変わり果てた自分の姿を見ながらため息をつく。こうなってしまってはもはや誰も自分を星の戦士のベガだと気づいてくれる者はいないだろう。当然、自分が女だということも・・・・・・。

「どうしよう・・・記憶が無いとはいえ、アルタイルが目覚めたときにあたしは一体どうすればいいんだろう?」
こんな姿・・・とてもではないがアルタイルに見せられない。
いっそのこと、今の自分を捨ててしまおうか・・・目が覚めていきなりこんな姿の女がいればアルタイルに絶対怪しまれる・・・「お前何者だ」と・・・だったら性別を偽ってしまおうか。この姿だし、どうせ本当の性別はわからないだろう。同性の方が親しくなりやすいし。
しかし、その時は不意打にも急にやってきた。



「・・・・・・ぅ」



「!!!!」
急に自分ではない誰かの声が聞こえてきたのだ。ベガは恐る恐る隣で寝ているはずのアルタイルに目を向ける。
「・・・ここは」
アルタイルが・・・・・・起きた。
ベガは突然過ぎる出来事に目の前の状況を理解できず、言葉を発せなかった。その感情は驚きであり、しかしそれ以上に喜びだった。死んでしまったのかと思わせるくらい長い眠りについていたにも関わらず、さも何事も無かったかのように起きたのだ。
ベガは心を落ち着かせ、とりあえずお目覚めのアルタイルに男っぽく声をかけてみる。
「あ、よ・・・よう、起きたの・・・起きたね」
「・・・・・・お前、誰?」
普通に会話できた・・・しかし、アルタイルの言葉を聞いたとき少し気分が冷めてしまった。
「あた・・・僕はベガ。何故か君、こんなところで寝ていたから」
「ここどこ?」
「とある岩山の洞穴。ここは僕の秘密基地ってとこかな」
「ふーん」
次々に頭に浮かぶ嘘・・・ベガはそれを発するたびに心が痛んだ。今のアルタイルには以前の記憶が無い、いわば何も知らない子供同然なのだ。しかし皮肉にもアルタイルは何の警戒もしていない。
「君、名前は?」
ベガは意味が無いとわかっていてもアルタイルに質問する。こうして自己紹介していくことでごく自然な会話に発展していく。
「・・・アルタイル」
「!!」
驚いた・・・アルタイルは自身の名前を憶えていたのだ。そうだとすると、他に覚えていることがあるかもしれない・・・・・・と思い、ベガは続けた。
「どこから来たんだ?」
「知らね、覚えてない」
「・・・何か覚えていることとか無いのか?」
「・・・・・・俺は"アルタイル"で、"星の戦士"だってことしか覚えてない。あ、星の戦士ってわかるか?」
「あっ、うん。世界の秩序を正す者でしょ?」
これで彼が覚えていることが自身の名前と自分が星の戦士だということがわかった。ベガはふむふむと少し安心する。
「(なんにせよ、アルタイルが起きてくれたことが嬉しいな♪)」
「・・・なぁ、腹減ったんだけど何かないか?」
アルタイルの腹の虫がよく聞こえる。
「あぁ、外に木の実とかたくさんあるから採るといいよ」
「マジか!?」
アルタイルはそれを聞くとダッシュで出口に走って行ってしまった。どんなアルタイルだろうと、目を覚ましてくれた・・・それだけで充分だ。無くなった記憶を元に戻す方法がどこかにあると天界の本に書いてあったが内容はよく覚えていない。
とりあえず次の目的は天界に帰ることだ、泉か噴水を探さなければ。しかし、ベガはその後あることに気づいた。
「あ、羽が無いから天界に帰れない・・・・・・」



TO be countied・・・
前回の最後の文をちょこっと修正・・・10年→9年にしました。
USDXな物語』はこれの一年後ですm(_ _)m



今日は『ファイナルファンタジー9』を初めからにしてやっていました。
一度クリアしたやつなんですけど、もう一度ストーリーを見たくなってしまって・・・そういうゲームってありません?
俺的にはこの『FF9』は神ゲーです。なんせ『原点回帰』と『生命讃歌』がテーマですから。
特にキャラクターが好きです。



主人公の『ジタン・トライバル』。
彼は盗賊なのに数々の名言を残し、傷心する仲間を励ます立派な男です!しかもたった今まで敵だった者も助けるめちゃくちゃ良い奴です。そのときの彼の名言がこれです。
「誰かを助けるのに理由がいるかい?」
この名言、彼の数々の名言の中で最も有名なものです。正直すんごい憧れてます。


まぁ特に好きにキャラは
"第二の主人公"と陰で呼ばれている『ビビ・オルニティア』です。
彼は黒魔導師の子供で、ジタン達と旅をしていく内に自分の出生についての過酷な事実を知るんですが、次第にそんな過酷な事実をも乗り越えられる心の強さを身に付けていきます。ストーリー中で一番成長したキャラと言っても過言ではありませんね。
エンディングで彼の命は"停止"してしまうんですが・・・・・・(T_T)