「希望の翼」 ♯戦イ、再ビ

黒い空で雷鳴が轟いている。そんな空の下、ベテル・ギウスとダークマター、双方が睨み合っていた。
「まさかこんなところで会えるとは思わなかったぜ・・・」
「貴様、あの時の小僧か・・・・・・生きていたとはな」
ベテルは多分このダークマターとは面識が無いが、ダークマター側からすればよく覚えている。
「あの片角の小僧もちゃんと生きているか?」
それはポルックスのことだろう。答えてやりたいところだが、今はのんきにそんなやり取りをする暇は無い。
「今すぐこの星から出て行け!ここはお前らの来ていいような星じゃない!」
星の戦士の役目は星に害を与える侵略者たちを追い払ったり、その星の問題を解決するのが仕事だ、それはプライベートだろうが関係ない。ある意味ボランティア団体である。
しかし、ダークマターは表情を少しも変えない。
「フッ、星の戦士・・・か。果たして我々に対し威張れるほどの実力があるのかな?」
ダークマターの姿が変わり、人型になる。
「この姿では私の本来の力は出せない・・・この姿の私を倒せないようでは先程の姿は愚か、ゼロ様にさえ勝てやせんぞ・・・!?」
ダークマターがそう言っているうちに、ベテルは行動を開始していた。剣士の姿だろうが花みたいな姿だろうが関係ない、勝たねばならないのだ・・・!
「!」
気付けばダークマターの背後を取っていた。ダークマターはあまりの速さに一瞬ひるむかに思われたが・・・。
「その程度のスピードで、我が剣に追いつけるとでも思ったか?」
「!?」
ダークマターが振り向き、鋭く禍々しい眼光にベテルの動きが一瞬止まった。ダークマターはその隙を逃さない。剣を軸に体を捻り、ベテルに体をぶつけて距離を伸ばす。ダークマターはその距離を一瞬にして縮め、体中に黒い雷を纏う。そして目にも留まらぬ速さでベテルに連続突進した。ベテルの体は遊ばれるように飛ばされる。
「(ぐっ・・・!?)」
このままやられっぱなしでいるわけにはいかない、何としてでも反撃しなくては・・・・!ベテルは痛みに耐えながら頭の中で考える。
「(この攻撃を止められるような頑丈な壁を・・・創る!!)」
ベテルの周辺が光り、周囲に鉄の壁が現れた。その厚さは5cm・・・これでこの猛攻を止める。
「無駄だ・・・」
ダークマターは剣を構え、突きの準備をする。ベテルとの距離が10mに達すると剣は電気を帯びた。剣士が壁に当たると、その剣は厚さ5cmの鉄の壁をいとも簡単に貫いてしまった。
「・・・!!」
幸いにもベテルの頭上を掠めた程度だったため致命傷は避けられた。壁から剣を抜き、ダークマターは再び距離を取る。
ベテルは厚さ5cmの壁を破られたことに驚愕していた。
「(くそ・・・こんな壁じゃ駄目だってことか・・・?もっと硬くしなければ)」
ベテルは鉄の壁を異世界に戻し、ダークマターの方を見る。ダークマターはその視線に気づいたのか構えを解いた。
「どうした、まさか今のが本気の防御と言うのではあるまいな?」
「・・・当たり前だ、言うわけねェだろ」
しかし実際、あの壁が破られたとなると少し不安になる。あの様子だと厚さを10cmにしたって簡単に貫かれてしまうかもしれない。天界をあんなにしてプレアデス星団員を連れ去ったほどの奴らだ。ナメてかかって勝てるような相手ではないだろう。
「(考えろ・・・)」
あの猛攻を、雷を防ぎ、尚且つダークマターの動きを一瞬でも止められるような・・・何かを。
「(考えるんだ。頭をフル回転させて・・・!)」
ベテルの表情が次第に険しくなっていった。考えれば考えただけ、ダークマターにその方法を全て打開されてしまうのではないか・・・?そんな考えがベテルの思考を邪魔した。あのスピード、あの威力、あの威圧感・・・あの脅威が一つでも減ってくれれば少しは楽になる・・・。だが、その脅威を取り除く方法が見当たらない。
「(・・・どうする・・・・・・どうする!?)」
邪魔な考えと焦りがベテルの思考を更に邪魔した。ダークマターがいつ攻撃を仕掛けてくるかわからない、早くしないと・・・・・・。




To be continued…
変な終わり方w
ベテル、あんなに強くなったにも関わらず更に強くなったダークマターの前では無意味・・・ベテルに勝機は訪れるのだろうか?