「希望の翼」 ♯紫ノ雷

前回までのあらすじ

ベテル・ギウスは下界のとある星で行方不明となっていたプレアデス星団員の一人であるフォー・マルハウトと偶然にも再会した。
しかしフォーには以前の記憶は無く、しかもこんなことを言う。
「あっちの方で何かを感じたんだよ。何か、こう・・・モヤ〜って感じのが・・・」
フォーの言うモヤ〜の正体を突き止めるため、ベテルはフォーに付いて行くことにした。


「・・・なぁ、まだなのか?」
「いや、まだ遠くだな・・・」
もうずいぶんと飛んでいるような気がする・・・かれこれ1時間は飛んでいるだろう。それでもフォーが感じているモヤ〜には一向に近づいている気配が無い。いいかげんベテルも疲れ始めてきた。
「この先に何かあるのか?街か何か・・・」
ベテルはフォーほど気配に敏感ではないのでフォーの言うモヤ〜というものがどういうモノかがわからない。何か強大な存在の気配なのだろうか、それとも邪悪な者の気配なのか・・・?
「わかんね・・・俺、あの辺りから離れたことないもん。」
つまり、目覚めたという森の周辺から外に出たことが無いということか・・・これが初の遠出。
「・・・けど、この先にたくさんの人の気配を感じる」
「街か集落があるんだな、きっと」
冷たい風が顔に当たる、そういえば245年前もこんな風が冷たい日だったっけ・・・。
さらに30分ほど飛んでいると、前方に小さな灯りがポツポツと見えてきた。フォーがその灯りのあるところを指す。
「あそこからモヤ〜って感じる・・・多分あそこに何かあるんだ!」
フォーはそう言うと一人でサッサと行ってしまった。
「お、おい、少し様子を見たほうが・・・」
ベテルの声は届かず、フォーは地上に降りてしまった。
「あぁ、ったく」
ハァ・・・とベテルは吐息を漏らすと、仕方なくフォーの後に続いた。



地上に降りると、灯りのある場所は街であることがわかった。しかし、フォーは街に入らず、黙って見ている。
「・・・何やってんだ、入らねェのか?」
「いや・・・・・・」
ベテルはフォーに促してみるが彼にその気はないようだ。見ると彼の尻尾が何かを探しているかのようにクネクネと動いている。ベテルにはフォーのしようとしていることがわからなかった・・・特に目的が無いのなら一刻も早く天界にフォーを連れて帰りたいのだ。
「何かが・・・来て・・・?」
「?」
その直後だった。天空が紫に光ったのだ。一瞬二人には何が何なのかがわからず、ただそこに立って空を見上げていた。
「(雷・・・!?)」
ベテルがそう理解したのは初めの光があってから数秒後。しかし変だ、空はさっきまで明るかった筈・・・なのにこんな一瞬で真っ黒な雲が空全体を覆うなんて・・・。
「ベテル、離れるぞ!!」
フォーの叫びでベテルは見上げるのを止め、フォーの指示に従う。しかし翼を広げ、空に浮かびあがり街に背を向け、100mほど進んだところでベテルはハッとする。
「(違うだろ!何逃げてんだよ。こんなの違う!!これは・・・)」
ベテルは体の向きを街の方に戻した。



「これは"俺"じゃない・・・!!」



ベテルはそう叫ぶと街に突っ込んで行った。空がめちゃくちゃなくらい激しい音を鳴らしている中、その声はフォーに届かずともベテルはとにかく戻った。
あれは・・・あの雷の感じは・・・!
ベテルの手にはいつの間にか大きな剣が握られていた。とても大きい両手剣・・・"ツヴァイヘンダー"。
「出て来いよ・・・」
ベテルは雲を鋭く睨んでいた。一瞬の変化も見逃さないような眼光・・・それは、ある者に向けられていた。雲の中から何かが出てきた。黒い球体で、その周りには黄色の花びらのような突起物が付いていて、一つ目だった。
そう・・・
ダークマター!!」




To be continued…
あらすじは多分今回限りかとw
ツヴァイヘンダー・・・実際に16世紀頃、ドイツで使用されていた両手剣です。
詳しくはWikipediaで((



今日の再翻訳

『2人ノ出会イ』より


あそこの森の木が所どころ粉々になってるんだよ!本当に小麦粉みたいに粉々なんだ!!あんなこと、天界の獣だってできやしない!
             ↓
What shattered! Such a thing, can not palm Even the beast of heaven I've been shattered far from the forest where the trees over there! Really like flour!
             ↓
何が粉々になった!このようなことは、私は森から遠く離れて粉砕された天の獣であってもあそこの木!を手のひらできません。本当に小麦粉が好きです!


Wanderコメント「そんなに小麦粉が好きか!!w」