「希望の翼」 ♯生物ガ生活デキル星

さて、
行方不明となってしまったプレアデス星団員を捜索するにあたって問題がある。
『この何億光年と広い宇宙で何十人かの人物をたった数人で探さねばならない』
というものだ。ちなみに、
「情報処理は特別なようでもない限り下界降下は不可能・・・か」
つまり、情報処理であるポルックスはほとんど捜索に加わることができない。ベテル・ギウスとアンタレスの二人で捜さねばならないのだ。
「・・・やっぱりこれ、無謀なんじゃねーの?」
第三島のプレアデス星団施設。アンタレスが机に頭を乗せている。どうもやる気が起きなくなってきたらしい。
「オイオイ、この世に不可能なんて一つもないんだぜ?どんなに希望がなくてもやらないことには始まらないんだ。」
ベテルが手元の書類に目を通しながらアンタレスを説得する。
「お前、逞しくなったなぁ・・・もしくはタフだな。」
「冷静に分析すればある程度惑星の特定ができる。たとえば惑星の気候や環境、生物が住めないような環境ならまずそこにはいない。」
ポルックスがパソコンで惑星を調べ、そのデータがプリントアウトされる。それをベテルが見る。アンタレスのやることは特に無い。
余談だが、パソコンやプリンターなどの電化製品はこの20年で突然普及され始め、今ではこの天界でも電話が存在する。たいした技術の進歩だ。
「あの時、俺は少しだけあの布っぽい物を巻いたヤツの話を聞いたんだ。『記憶を消し、意識を失わせたまま下界に飛ばす』って言ってた。わざわざ命を奪わずに記憶を消して下界に送るってことは、ヤツにとって団員が何かの為に必要だからだ。だから生物が住めない・・・つまりは食料も自然もないどう考えたって誰も住めないような星には飛ばさなかったってことだ。」
ベテルは顔を上げずに説明する。
ポルックスがパソコンをカタカタといじっている。昔は本で調べてその情報をまとめるという作業が必要だったため、パソコンの存在はありがたい。これから情報処理の仕事がスムーズになっていくことだろう。
ベテルの机の両サイドには紙の山が重ねられていた。高さにして片方はおよそ30cmもう片方はおよそ10cmといったところだろう・・・。ベテルはある紙を左に、またある紙を右に、と紙一枚一枚に目を通し、仕分けしていた。アンタレスはベテルがやっていることの意図が読めず、困惑する。
「・・・何してんだ?」
「さっきの『生物が生活できるような星』と『生活できる星』に分けてんだ、俺から見て右側が前者、左側が後者だ。こうやって分けてリストを作る。今のところ、後者の方が少ない。」
しばらくずっとこの作業が続くのだろう。終わるのは何か月先になるか、もしかしたら何年か先になるかもしれない。だが、彼らは決めた。たとえ何年かけようが、何十年かけようが、彼らを捜すために全力を尽くすと・・・。
「・・・お茶、入れるよ」
ガタリ、とアンタレスは席を立った。



それから、10年の時が流れた。
「・・・これで、全部か・・・・・・」
ベテルとアンタレスポルックスは紙の散らばった部屋でぐったりとしていた。何千億、何兆という膨大な数の星をすべて仕分け終わったのだ。当然、10年間ぶっ通しでやっていたわけではない。休憩中はちゃんと休んだり散歩したり買い出しに行ったり、寝る時間も8時間とだいぶ長かった。そうやって作業していたら、あっという間に10年の時が過ぎたのである。
部屋にある紙はすべて『生物が生活できる星』についてのデータだ。不可能なもののデータが書かれた紙は定期的に業者に持って行ってもらってほぼ処理した。しかし、事務所中に散らばっている紙は床を完全に隠していた。
しかし、これでようやく本格的に活動ができる。
「よ、よし、一週間休もう。疲労困憊で倒れたら困るから。」
ベテルが床(紙の上)に寝転んでいる二人に呼びかける。それを聞くと二人はすぐに起き上がった。
「ぐは、マジさんきゅ・・・ありがたく休ませていただくぜ・・・・・・」
アンタレスはゆっくりと入口に向かい、出て行った。
「俺、しばらく手が言うこと聞かないかも・・・」
ポルックスも入口に向かうが、手がかなり震えていてなかなかドアノブを回すことができない。二分くらい経ってようやく出れた。
ベテルもそれを見届けると寮に帰る支度を始めた。
「・・・・・・」
やっぱり床に散らばった紙が気になってしまう、整理しなければ気が澄みそうにない。
・・・それからベテルは夜遅くまで紙を整理した。いや、夕飯は食堂できっちり食べたけど・・・・・・。



・・・続く!!
いきなり10年も時が流れましたwww
これからドンドン時が流れるかもしれません(え



最近暇ですw
ニコ動とか見てます。勉強はする気になれません((
↓の『カービィ 空を見上げる』もできれば見てくださいね(黙